鶴の一声2 ページ49
(side Marco)
驚いた。今までの親父の行動からは想像もつかない言葉だった。
初めてAを前にした親父は小さく固まる彼女を虫けらと揶揄したが、今はどうだろうか。あれほどナースでもない女をこの船に乗せたがらない親父がAを｢娘｣と呼ばせるのは、彼女のカリスマなのか、はたまた酒が成せる技か。
あれほど彼女が欲しがった言葉をこの場で発する親父は、俺達が思うよりもすっど、彼女のことを気にかけているのだろう。娘という存在に戸惑うのも仕方がない。
親父の言葉が余りにも予想外だったのか、赤髪の使者は目を丸くする。
白｢こいつがいねえとウチのもんが腑抜けちまって仕方ねえんだ｣
なあマルコ、とでも言いたげな視線を投げつける親父。ぐうの音も出ないのがどうにも居心地が悪い。
使｢な、なあ、ここだけの話、Aって女がいるとお頭も入れ込んじまって、こっちとしても困ってるんだ。その手紙にもある通り、直ぐにでもあんたん処に返してえ、早いとこ返事をくれねえか？｣
およそ世界最強の名高い親父にかける言葉とは思えない文言で早口に答える男。そりゃあいつ切りかかられるかもしれない船には1秒たりとも長くはいたくないだろう。それにしたってAを邪険にするとは感心できない。
白｢グララ…俺に指図するたァ、赤髪の小僧も偉くなったもんだぜ。…伝えろ、コノハの港で俺の大事な娘を渡しに来いってな｣
それだけ投げつけると親父は手紙をくしゃりと丸めて立ち上がった。話は終わったとその背中が告げる。ここからは俺達の仕事だ。親父の無言の指示を背に隊長達が動き出す。
マ｢航海士は俺と一緒来い。お前も一緒に。でんでん虫は持ってるんだろい？｣
ヒラヒラと使者を手招きする。急に動き出した俺たちを不思議そうに見る使者。たった1人の女の為に動き出す四皇の船に驚いているのだろうか。しかし、この船はそれがルールだ。
こんな間抜け面がAへと繋がっていると思えば、不思議と丁重にしたくなるもので、足取りも軽いながら名前も知らない男に合わせたくなる。
早くAに会いたい一心だ。俺だけは諦める訳にはいかないと心に決めていたが、その考えが過ぎるだけでも裏切りに代わりないとやっと気づいた。
なあ、A。もう一度この船に帰ってきてくれないか。お前の欲しかった場所は、ここじゃあ事足りないだろうか。一度突き放した俺がそんな事を口にするなんて、みっともなくて、お前の前じゃなきゃ.俺は。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 115人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
がまお(プロフ) - ちルチルさん» ありがとうございます！！過去編もうちょっとだけ続くと思われます！これからもどうぞお付き合い頂ければ嬉しいです！！ (2019年5月13日 23時) (
レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
ちルチル - ついに過去編来ましたか！過去の夢主ちゃん可愛いですね〜(´ω`)これからも応援してますからどうぞ更新頑張って下さい！ (2019年5月13日 15時) (レス) id: d78596acdf (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - 焔さん» わあ！ありがとうございます！とっても嬉しいお言葉…！感無量です！ファンだなんておこがましすぎますが頑張らせていただきます！これからもどうぞお付き合いください！ (2019年4月19日 22時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
焔(プロフ) - がまお様 Twitterの通知からこちらに来させて頂きました。とてもお話が面白く読みやすく没頭してしまい一気に読ませていただきました。ファンになりました、応援さてください！続きも楽しみにしております。 (2019年4月19日 2時) (レス) id: 05617d7299 (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - シャノワールさん» ありきたり展開で申し訳無いです…（;∀;）少しでも面白いと思って頂けるように頑張ります！！これからもどうぞ暖かい目で見ていただければと思います！ (2019年3月29日 1時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：がまお | 作成日時：2019年3月15日 15時
