呪いのそれ3 ページ4
(side Marco)
Aが部屋を去り、途端にバーはその煌めきを失った。半端に磨かれ置き去りにされたグラスが途方に暮れる。
Aによって引かれた椅子に腰掛け頭を抱えた。あんなに考え込んだ決断が、自分の首をキツく締める。いつか来るはずの別れを今になって受け入れられずにいるのは、他でもない俺だった。
グラスの水を一気に飲み干す。さっきから喉がカラカラだ。
サ｢…困るんだよなぁ、人の部下を勝手にクビにされちゃあよー｣
扉の方から低い声が響く。その声には少しの怒りと呆れが感じられた。視線だけチラリと送れば、腕を組み扉の縁に体を預けたサッチがこちらを見下ろしている。
マ｢…代わりは立てる。酒の目利きなら他のやつにも出来るだろい｣
驚く程に声が出ない。情けないまでに体に力が入らなかった。そんな俺に腹を立てたのか、ツカツカと歩み寄ったサッチに襟首を掴みあげられる。
サ｢あ？聞こえねえよ、この腰抜け野郎｣
突き飛ばすように手が離される。イスにどかりと打ち付けられたが、今の自分では何も言い返す言葉が見つからない。
サ｢チッ…お前、Aをどうするつもりだ。島に置いて、手前ェだけのもんにでもしようってか？｣
力なく項垂れる俺にサッチが舌打ちを投げつける。
マ｢…あいつを、普通の女として、幸せにしてやりたい…この船に繋ぎ止めてりゃ、あいつを幸せにしてやれねえんだよい｣
何とか絞り出した声に、大きく溜め息をついたサッチが頭を抱える。
サ｢今更しょうもねえ事考えやがって…親父には？｣
サッチが向かいの席に腰を下ろした。腑に落ちていないのはその顔を見れば分かる。
マ｢まだだ…元は俺が連れて来たんだ、好きにさせてくれるだろうよい｣
ラグナのようにAは敵船から俺がこの船に連れて来た人間だ。酒の目利きを見込んでバーを作らせたのはサッチだが。それも相まっての批判的な顔だろう。
サ｢…良いのか？俺ァ、お前の本気ぐらい、分かってるつもりだぜ｣
本気、確かにそうだった。今でもAへの想いは消えるどころか増す一方だ。
マ｢あいつを…幸せにしてやりてえんだよい｣
心からAを愛している。だから、この手を離さなければいけない。
それに気づいた時から踏み切るまでに時間がかかった。それ程に、Aと離れて、別々の道を歩むのが嫌だった。Aのいない日々を生き抜くのが、怖くて堪らない。Aへの想いを前にすれば、俺はただの意気地無しだ。
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がまお(プロフ) - ちルチルさん» ありがとうございます！！過去編もうちょっとだけ続くと思われます！これからもどうぞお付き合い頂ければ嬉しいです！！ (2019年5月13日 23時) (
レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
ちルチル - ついに過去編来ましたか！過去の夢主ちゃん可愛いですね〜(´ω`)これからも応援してますからどうぞ更新頑張って下さい！ (2019年5月13日 15時) (レス) id: d78596acdf (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - 焔さん» わあ！ありがとうございます！とっても嬉しいお言葉…！感無量です！ファンだなんておこがましすぎますが頑張らせていただきます！これからもどうぞお付き合いください！ (2019年4月19日 22時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
焔(プロフ) - がまお様 Twitterの通知からこちらに来させて頂きました。とてもお話が面白く読みやすく没頭してしまい一気に読ませていただきました。ファンになりました、応援さてください！続きも楽しみにしております。 (2019年4月19日 2時) (レス) id: 05617d7299 (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - シャノワールさん» ありきたり展開で申し訳無いです…（;∀;）少しでも面白いと思って頂けるように頑張ります！！これからもどうぞ暖かい目で見ていただければと思います！ (2019年3月29日 1時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：がまお | 作成日時：2019年3月15日 15時
