呪いのそれ2 ページ3
(side Marco)
ラ「どうして…?どうして私はだめなの…?彼女なんて、戦えもしないくせに…」
ごく正論なその言葉、しかしそいつは聞きたくなかったものだ。ノブを握る手に力が籠る。今この時、理性を保つのに精一杯だ。そんな俺に気づかずラグナは言葉を続ける。
ラ「私なら戦える!彼女よりこの船に必要な筈よ!ねえ、私をこの船に乗せて!」
俺の中のあの眩しい笑顔が崩れていく。重たい口が心を置いて動き出す。
マ「…ああ、確かに…あいつはこの船に乗ってるべきじゃねえよい」
ラ「それなら…!」
マ「次の島でお前と、Aをこの船から下ろす。準備しとけよい」
それだけ言い残してラグナの部屋を出た。引き留めようとしたのか酷く驚いた顔を浮かべた彼女に見ないふりをして扉を閉める。追いかけては来なかった。
足取りは酷く重い。視界が回って、今にも吐きそうだ。
向かう先は以前は毎日のように足を運んでいたその場所。まだ始業前で支度をする音が近づくごとに大きくなる。
重たい扉を開くと、記憶の中と変わらない穏やかな顔でそこの主はグラスを磨いていた。
ノックも無しに入って来た俺を見て驚くA。
『マルコ隊長?どうされました…何だか顔色が優れませんよ?』
グラスを置きカウンターから出て心配そうに駆け寄ってくる。その手にはいつの間に注いだのか水の入ったグラスがあった。
『…お疲れなんですね、お水をどうぞ』
近くのイスを引かれ座るよう促される。優しい笑みを見るのが今は、どうしても、
『マルコ隊長…?』
立ったままで動かない俺の顔をのぞき込む。心配そうなその顔に手を添えた。白い肌は薄ら色付く。瞳が揺れて、そこに映った自分も揺れた。
マ「今日は、バーは開かねえでいい。荷物をまとめろい」
『え…それって』
マ「明日、この船を下りろ。これから、島で暮らすんだよい」
ゆっくり目が大きく開く。言葉を失ったように動かなくなる。いつかした様に、髪を耳にかけるが、あの時のように肌は色づいていない。絶望に満ちた瞳がどんどん遠くなる。
『なん、で…』
マ「お前の為だよい、もう、このマークを背負う必要もねえ…幸せに暮らせよい」
力なくぶら下げられた左腕をとり、大事そうに付けられたブレスレットを外す。俺が渡した物だ。なんて情けない。
『…わかり、ました…荷物を纏めてきます』
何か堪えるような声で言葉と手の中の温もりを残し、脇をサッと彼女が過ぎ去った。
.
115人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
がまお(プロフ) - ちルチルさん» ありがとうございます!!過去編もうちょっとだけ続くと思われます!これからもどうぞお付き合い頂ければ嬉しいです!! (2019年5月13日 23時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
ちルチル - ついに過去編来ましたか!過去の夢主ちゃん可愛いですね〜(´ω`)これからも応援してますからどうぞ更新頑張って下さい! (2019年5月13日 15時) (レス) id: d78596acdf (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - 焔さん» わあ!ありがとうございます!とっても嬉しいお言葉…!感無量です!ファンだなんておこがましすぎますが頑張らせていただきます!これからもどうぞお付き合いください! (2019年4月19日 22時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
焔(プロフ) - がまお様 Twitterの通知からこちらに来させて頂きました。とてもお話が面白く読みやすく没頭してしまい一気に読ませていただきました。ファンになりました、応援さてください!続きも楽しみにしております。 (2019年4月19日 2時) (レス) id: 05617d7299 (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - シャノワールさん» ありきたり展開で申し訳無いです…(;∀;)少しでも面白いと思って頂けるように頑張ります!!これからもどうぞ暖かい目で見ていただければと思います! (2019年3月29日 1時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:がまお | 作成日時:2019年3月15日 15時