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SideSH
「彼は彼のみたいように世界を見ていない。勝手に、自分はこうだ、こうあるべきだ、って見ないふりをしてる」
監督の言葉はその通りだ。でも、じゃあ。
SH「監督は、それにAが気づけるって思ってるんですか?何も言わずに、この短期間で」
薄い監督の唇。片端が上がって、そこから息を漏らすように吐息で笑う。
笑顔が、少し怖い。
「僕だってかけをしてるんだ。彼は優秀な役者だけど、ナチュラルであれならもっと化ける。でも、今のまま野放しにしてたらすぐに他に取られる。僕が作って、僕が手に入れる」
SH「..............」
「まあ、君に対してもそういう欲はあるけどね。君は、もうほとんど完成されてるから」
ふ、とこっちを向いた時には背筋をなぞる冷気のような感覚は消えていた。やはりこの業界は怖い。
Aを見ると、メイクさんに軽く直されている間も台本に目を落としている。
「ここのシーン飛ばそう、先に他のやつ撮ろう」
監督はそんなAに目もくれず、そうスタッフに呼びかけ行ってしまった。
それからはA抜きのシーンを撮り始めて、その日、結局Aのシーンは一度も進まなかった。
SH「え、なんで」
「すみません、監督からの指示で」
その日の撮影終わり、先に上がったAが待つホテルの部屋に向かうと、扉の前に立っていたスタッフに違う部屋の鍵を渡された。
SH「指示、って、じゃあ話すのもダメなんですか?」
すみません、と謝るばかりでスタッフは答えない。でも、Aの部屋の前から一歩も動かない態度を見るに、どうやらそうらしい。
まじで極限状態に追い込むつもりかよ。
カトクを開いてみる。でもここで連絡したらどうなるんだろう。
監督は賭け、だと言った。
勝つ賭けしかしない世界だ。彼は勝つ気でいる。勝つ自信がある。
SH「...............ちくしょ」
だったら、もう俺もお前に賭ける。俺だって、監督に負けないぐらいお前を信じてるんだ、A。
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飴雨(プロフ) - チュゴラ...(°д°) (2022年1月9日 22時) (レス) @page49 id: 611491bcf0 (このIDを非表示/違反報告)
もこもこ - 名前まんまです笑カタカナにすらしていません。たまに名前を変えるときはユウって入れています。どっちも2文字なので字数オーバーしたことはないですよ。いつも楽しみに読ませていただいてます!ユンギペンより (2020年5月22日 23時) (レス) id: 29b5bff5d8 (このIDを非表示/違反報告)
レイコ(プロフ) - 作品が大好きでいつも楽しみにしてます。名前思いっきり本名カタカナで入れてますwww (2020年5月20日 12時) (レス) id: 910148a662 (このIDを非表示/違反報告)
sai - 前の作品も読みました!!いつも楽しみにしています。フラグ回収がいつも凄くて‥‥!更新応援します! (2020年5月20日 0時) (レス) id: 4245d4dd85 (このIDを非表示/違反報告)
a(:(プロフ) - 月と書いてユエという中国読みがあるらしく、その名前で設定しています。リクエストは特になく、いつも楽しく読ませて頂いてます。ありがとうございます。 (2020年5月19日 21時) (レス) id: d60ff01a2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すばる | 作成日時:2019年12月24日 1時