めも (ページ6)

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特別なあなたページ6

＊悪いこと

彼女は涙袋を膨らませて、茶目っ気たっぷりに言った。

「あのね、深夜に齧るアイスの味がする」
『それは…めちゃくちゃ悪いね』
くすくすと額を寄せて笑いあった。
「そう、滅茶苦茶に悪いの。」

＊悪は悪か

その気持ちが、痛いほどにわかってしまったから。
果てしない程に真っ黒い。助けて欲しい。藻掻いても足掻いても、されど差し伸べる手はない。あるのは暗闇だけ。
彼もそうだった。それはまさしく地獄である。生まれた時から雁字搦めに縛られてきて、教育という名の洗脳におかされて、もうどうしようもなくなってしまった。
きっともう、たすけてすら言えなくて。
「しんどい、地雷すぎ、何それ、」
「は？」
「むりぃ〜〜〜責めらんないって、こんなん」

＊幸運ね

わかる。気色悪すぎるよ。
だけどさぁ……生きるしか、ないんだよ。私たちのお手本はさ、いつも本だったでしょ。だから勘違いしちゃったんだ。いいこと、私たちの現実にはね、ヒーローも愛してくれるひとも居ない。藻掻いて泣いて這いずって進むのが人生だ。生きるのって、しんどい。
でもね、あなたは幸運。あなたが膝小僧をすり減らして進む道に私は居てあげる。私が居るだけであなたの人生は一等賞でしょう？

＊幸せの後味

潤うことの無い孤独がひりひりと管を焼く。乾ききったせいで例え如雨露で少しの水を与えようとすぐに飲み干しもっともっとと欲しがって結局更に飢えてしまうのだから、幸せは後味が残ってしまって胸を更に苦しくさせてしまうだけだから、いらない。

＊