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あなたとお話がしたい ページ11




私は、あなたの、何なのだろう。嘘つきだらけは、何になれるの。
傲慢で、愚かで、矮小だ。なのにどうしてこんなに、あなたの特別を望んで病まない。





自由とはなんだろうか。痛烈な惨状に晒されたあなたをみて、いつもそう思う。二度と登らない斜陽に晒されたあなたをみるのが、つらい。こんなにきれいなひと。花のようなひと。なのに、どうして自由になりたくて苦しまなければならないの。あなたが、ねえ。あなたが痛いとわたしも痛くて、いますぐに、枯れたくなる。どうして苦しむのがあなたなの。どうしてわたしじゃないの。





大人になるのが怖い。ひとにはあって自分に足らないものをまざまざと思い知らされるから。その果てしなさを知って、いつも、少しばかり息を止めた。





「おれは」
細い息を零す。
「おれは、あなたが、怖いです」





冬の匂いが苦手だった。冷たくて、どこか生臭い。築き上げたものを無に帰す季節。死のかおりだ、と思う。
自分もいつかこの匂いの粒子に混じって、青々しく生きる誰かのもとに流れるのだ。そう思うとひどい虚しさに駆られるのだった。





がむしゃらに泣いてしまいたかった。耳を痛めさせる程に喚いて、どうしてよってその胸ぐらに噛み付いてやりたかった。
でも、いまは、もういい。もう疲れたから、このまま息が止まってしまえって思ってる。




「どうしたの」
ぎうと強く俺の肩を掴んで離さない彼女を情けなくみつめた。糸のような髪が風に遊ばれて攫われていく。
顬に光る汗を見つけて、そっと拭ってやる。全身で呼吸する彼女は酷く震えていて、それに途方もなく思った。
「……どうしたよ」
俺の愛しみが伝わりますように、と願いを込めて、華奢な身体を掻き抱く。ふわりと甘い花の香りが昇り経つ。
きみが抱えるものはきっと途方途轍もないだろう。みつめるだけでしんどくなってしまうようなそれをちいさな身体で抱えるきみが、哀しくて、寂しい存在だと、淡い茶色の瞳をみてぼんやりと考えるのだ。

いつかきみを照らす光になれたら。
きみの魔法使いになってやれれば。

「(なんて、馬鹿か)」


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作者名:花ら小片 | 作者ホームページ:https://marshmallow-qa.com/1yebl4asi8ufnkj  
作成日時:2024年8月12日 20時

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