60.苦しみ。 ページ10
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何処にも行けないまま放課後を迎えた。
「帰ろっか。」
北斗が私を見ながら立ち上がる。
「…行きたい所がある。」
「どこ？俺も行くよ。」
「ひとりで行きたいの…！」
「駄目！今のお前をひとりにはできない！」
北斗は少し大きめの声を出すから、周りが一気に静まり返る。
「…行くぞ。」
私の手を掴んで、逃げるように教室を出た。
「待って！」
昇降口まで来たところで、北斗の手を振り解く。
「…屋上に行きたいの。
ついて来てもいいから…行かせて。」
「…分かったよ。けど手は離さないからな。」
そう言われてギュッと手を握られた。
誰もいない屋上に着いて、手を握られたまま空を見上げる。
いつになったら楽になれるのだろうか。
死んだら天国に行ける。
そんなの死んだ人にしか分からないのに。
だけど私はずっと、飛べば空に行けると信じてる。
こんな不幸体質な自分なんて、生きていてもしょうがない……。
なのに、隣で私の手を強く握る人がいる。
「苦しい……」
「え、大丈夫？」
北斗は慌てて私の背中をさする。
「違うよ。心が苦しいの。」
北斗の顔を見て力無く笑ってそう言うと、さすっていた手が止まる。
「無理して笑うなよ…。」
「っ…ごめんっ……」
心が辛すぎて涙が溢れてくる。
北斗はそんな私のことを優しく抱き寄せる。
「俺がずっと側にいてあげるから。」
その一言で一瞬にして涙腺が崩壊して、私は声を上げて泣いた。
声が枯れるまで泣き続けた。
北斗はずっと抱きしめてくれた。
その優しさがとても温かくて、涙はなかなか止まってくれなかった。
それでも彼は離すことなく抱きしめていてくれた。
そして、私は北斗と付き合うことになった。
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和ッフル(プロフ) - yamayama0509021さん» 嬉しいです！ありがとうございます！！ (2021年2月5日 10時) (
レス) id: 287052cd16 (このIDを非表示/違反報告)
yamayama0509021(プロフ) - 一瞬で読み終えてしまいました！！！面白かったです！！！これからも楽しみにしてます！！ (2021年2月4日 23時) (レス) id: f5163d79d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和ッフル
| 作成日時：2020年10月17日 21時
