68.命の恩人。 ページ18
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目を覚ますと、真っ白な天井が視界に広がる。
見渡せば、点滴が繋がれている。
ここは病院のようだ。
私、まだ生きてる……。
「A。」
隣から聞こえてきた声に振り向くと、同じように点滴に繋がれて横になる北斗がいた。
「北斗…!?どうして……」
「A、助かったんだよ。」
助かった、のはわかるけど、なんで北斗がここに……?
すると病室のドアが開いて、入ってきたのは久しぶりに見る私のお母さんだった。
「あ、ふたりとも目覚めた?」
「お母さん…!」
お母さんは私と北斗が寝てるベッドの間にある椅子に座った。
「A。あなた、北斗くんがいなかったら助かってなかったかもしれないのよ。」
「え…どういうこと……?」
「あなたが倒れた時、直ぐに移植が必要だったの。
それも血縁関係のある人間じゃないといけなかったみたいで。」
「…もしかして……」
私はゆっくりと北斗の顔を見る。
「北斗くんがドナーになってくれたの。」
「北斗が……?」
思わず目を見開いた。
「北斗くんがいなかったら、Aは…っ」
私の手を握って涙を流すお母さん。
お母さんの泣いてる姿、初めて見た…。
「北斗くん、本当にありがとう。」
お母さんは片方の手で北斗の手を握った。
「いえ…姉が助かってよかったです。」
北斗は嬉しそうに、だけどどこか切なそうに微笑んだ。
北斗と姉弟だったお陰で、私は助かった。
弟である北斗は私の命の恩人となった。
「ありがとう、北斗。」
運命って、すごいね。
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和ッフル(プロフ) - yamayama0509021さん» 嬉しいです!ありがとうございます!! (2021年2月5日 10時) (レス) id: 287052cd16 (このIDを非表示/違反報告)
yamayama0509021(プロフ) - 一瞬で読み終えてしまいました!!!面白かったです!!!これからも楽しみにしてます!! (2021年2月4日 23時) (レス) id: f5163d79d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:和ッフル | 作成日時:2020年10月17日 21時