45.ご契約者様特典 ページ10
「シャッチョサーン？」
「フィリピンパブか？」
「私、残念ながら干物女なんでげす。
なんで恋人…とかは
止めたほうがいいかと思うでげす。」
「干物女？知ってる。」
「え！？何故！？」
「お前が地べたを這いつくばってた時に
毛糸のパンツのギッシリな毛玉を見て。」
うははははー…スカートの中は油断するわ。
てか、しっかりそんなとこ見てんだー。
「そんな事よりテーブルマナーは？」
「パスタは箸で食べるもの！」
「ん。合格。」
「やったーー！
って、ならないならない！
だから恋人契約って何なんです？」
ガッチリ繋がれたこの手を解こうと必死になるけど
逆にぎゅうううって握られる。
「今から大切なお客様とお食事会があるの。
それについて来てもらう。」
「お食事会！？」
その言葉に切り替えスイッチが入り
目を輝かせて反応する。
それならそうと早く言ってくれればいいのに！
タダ飯バンザイ！
「パスタは？」
「箸で食べるもの！」
「ぶっふ！
箸を使えるなら問題ない。」
箸ってことは和食だよね。
しゃぶしゃぶ？
お寿司？
何でもいいっ！
ヨダレヨダレ！
「でね、そのお食事会の相手がさ…
"二宮サンノ、恋人サンモ、ゴ一緒ニ"とか言うからさー。」
「シャッチョサーン？」
「悪いけどフィリピンは封印してね。
で。
恋人のいないワタシは
カラダの関係者連れてくのも
その子に変な勘違いされたくないしー、
とか悩んでたのよ。」
どーでもいー。
タダ飯食べさせてくれるなら
どーでもいー。
「そんな時にアナタが落ちてたわけ。」
「むっ！人をモノみたいな。
れっきとした干物ですぅー。」
「ふはは！
そうね、干物ちゃんね。
というわけで今から少しの間
アナタは俺の恋人になる
"恋人契約"を交わしてもらう。
いい？」
「んーーー…
その特典内容は？」
「すんげぇ美味い天ぷら。」
「シャチョーーーーー♡
好き♡
天ぷらが好き♡
天ぷらが恋人！！」
「ん、まぁ少し違うけどな。
じゃ契約は成立ってことで？」
「はい！」
天ぷらのためなら
お食事会の間くらい恋人役やれるやれる♪
「じゃ契約サインに
ほら、キスしなさいよ。」
「は？」
「お前、大切なお客様の前で下手な演技してみろ？
接待でしくじって大きな商談を失敗とか
社長に恥かかせることになんのよ？」
はぁ？
はぁ？
接待！？
商談！！？
何それ！！！？
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2016年3月24日 22時
