干物女、恋愛するってよ。2 (ページ33)

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68.脱出ページ33

「ふごッ！？」

「だから、
もう止めとけって。」

社長の顔が傾いたと思ったら

サトチの手のひらが私の顔面を覆い
このキス魔から唇を守ってくれた。

よ、よかったー。
見られなくて。

顔面覆われてブタ鼻になっちゃったけど。

「どう見ても嫌がってる。」

「気のせいでしょ？
なぁ、ハニー？」

ハチミツでも舐めてろ！
…と、心の中で思っても口には出せない私は社畜。
そっぽ向くのが精一杯の抵抗。

「つれねぇ彼女。
ま、いいのよ。
時間かけて距離を縮めていけば。」

はっ！と笑って
潰されてた頬が解放された。

「ね、何でAなわけ？」

「なに？俺がコイツに手を出すとマズイの？」

「自分とこの社員なんて面倒くさいって言ってたじゃん。」

「社内恋愛って燃えることに気づいたのよ。
だから邪魔しないでくれます？」

「だから…なんでAなの？
まさかまだ引きずってんの？」

「…。」

引きずってる…？
なんか突然意味深な言葉が飛び出してきたな。

「関係ないでしょ？
この人の干からびた身体に潤いを与えてやるだけの話よ。」

「なに、それ！？
失礼すぎますー。
干物女だけど身体はまだ潤いとハリに満ちてます！」

今度は突然失礼な言葉が飛び出してきた。
むっかぁー。
怒りマックス！

「もう、帰ろうサトチ！」

ロープも解かれてサトチもいる私は
強めな行動に出れるもんね。
ふん！あばよゲスシャチョーさんよ。

「おいコラ待て！
誰が勝手に帰っていいなんて言ったよ？」

「じゃあね、また明日。
おやすみニノ。」

「だから！
ちょ、おい、待てって！」

わざと大きな音を立ててドアを閉めれば

「サトチ？」

「…。」

細くて綺麗な手が私の右手を捕まえて
少し強引にエレベーターまで連れてかれた。

エレベーターの中は無言。

だって…

なんだかサトチ
怒ってるみたいなんだもん。