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目を開けると、何も見えない闇だった。


私「わ…たし……」


ふと、右手があたたかいのに気づく。

………ずっと握っててくれたんだ。



先輩は私に膝枕をしたまま寝てしまっていた。
頭が私の方に垂れてるからかなり首がいたそう。


起こしてあげた方がいいかな?


そんな事を思いながら先輩の膝の上から先輩を見上げていた。
無防備なその顔はなんだかいつもより幼く見えた。

月明かりが射してるこの部屋で、先輩と私の影が後ろに伸びてるのが見える。
それをじっと眺めながら先輩をどうやって起こそうか考えていると繋いでいない方の手の影が動いた。



さ「起こせよ。」
そう言って私の髪をするすると撫でた彼は自分の首に手を当てている。

私「先輩が気持ちよさそうに眠ってるから起こしちゃだめかなって。」
さ「もうこんな時間か…。」


針は22時半を示していた。


なんとも言えない空気が漂って沈黙が流れる。
先にこの空気を断ち切ったのは先輩だった。


さ「……もう平気?」
私「先輩がいてくれたから、…もう平気です。」
さ「…そっか。」


なんだろう、この距離は。
手を伸ばせば届く距離に先輩がいるのに、一歩踏み出す勇気がない。


私の伸びた手が先輩の頬にあたる。
ぴくっと先輩が肩を震わせた。




さ「ねぇ、A」
先輩の優しい声が降ってくる。

さ「嫌だったら言って。やめるから。」





時が止まったような気がした。





唇から伝わる衝撃に心臓がうるさい。
小鳥が餌を(ついば)むみたいなそれはなんだか心地よくて。







柔らかくて、あまくて、溶けちゃいそうで、
気持ちがふわふわして。




月明かりに照らされたこの部屋で、私たちから伸びてる影が重なっていた。

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作品ジャンル:恋愛
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成瀬(プロフ) - 赤猫君。@あーる(元乃猫だよ)さん» 続きます.......!スランプで書けていないだけです。申し訳ないです....... (2019年11月3日 2時) (レス) id: 93719b2bfa (このIDを非表示/違反報告)
赤猫君。@あーる(元乃猫だよ)(プロフ) - 続くってなってるけど終わりなのかな? (2019年10月23日 13時) (レス) id: 8740c32d82 (このIDを非表示/違反報告)
狸桜(プロフ) - 成瀬さん» レスありがとうございます!いつまでも楽しみに待ってます(*^_^*) (2019年7月17日 11時) (レス) id: defbb4a183 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - 狸桜さん» ありがとうございます!最近亀更新で申し訳ないです(><) (2019年7月17日 0時) (レス) id: 9d7c1eba17 (このIDを非表示/違反報告)
狸桜(プロフ) - 初コメです。全体的に好きでした。明るいのと暗いのどちらも好みです!更新楽しみにしてます!(*´∇`*) (2019年7月16日 17時) (レス) id: defbb4a183 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:成瀬 | 作成日時:2019年6月14日 20時

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