すとぷりのお姫様は愛されている！４ (ページ21)

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ななもりの気持ちページ21

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ー Side ななもり。ー

さくちゃんの部屋はホテルの一室のはずなのに、さくちゃんらしい爽やかでちょっと甘いいい匂いに包まれていた。

ななもり「ごめんね」

『へ？』

ななもり「怖い思いさせちゃってごめんね。手痛かったよね」

スタッフさんから聞いていたのは。

「手を強く握られたみたいで...」って。

さくちゃんの手を優しく触れてみた。

こんな細くて小さい手なんだから、強く握られたら痛いに決まってる。

怖くなって一生握手会をしなくなったら？

さくちゃんはこういうイベントごとは大好きなのに、それを奪ってしまうのは悲しいし辛い。

『でも、あることだから。いつもイベントは楽しみだけど、不安と恐怖は常にあるよ。悪質な差し入れが入ってたりとか、手紙には誹謗中傷書かれることもある』

ななもり「え？」

『だから...、耐えきれなくなったらごめんなさい。私はそんなに強くないし、本当にどん底に病んだときはリスナーが全員敵にしか見えない...』

さくちゃんに執着してるのはほかの誰でもない。

俺達6人。

『本当はね。もっともっとメンバーひとりひとりとコラボしたいんだ。でもリスナーがいくらこのペアで歌ってみた聴きたい！とかツーマンして！って言っても嘘に聞こえるときがあって。自然体で振る舞っててもどこかで冷めた感情を持ってる自分がいて...』

怖いよね。

俺と歌ってみたを一度だけあげたことがあった。

さくちゃんは笑顔だった。
楽しみだねーって笑ってた。

でもさくちゃんが心の中で怖がってたのはわかる。
ころちゃんとしかコラボしてこなかったのもわかる。

アンチが怖かったんだよね。

減ったとはいえ、少なからずまださくちゃんをよく思ってない人がいるってこと。

放送中とかイベントとか、俺達に会うときは笑顔でいつも頑張ってくれてた。

だから本当のさくちゃんの苦しみに気づいてあげられなかった。

気づいてあげるべきだったのに。

『リスナーのこと大好きなのに。私が信じられてないだけなのかな...』

唇を噛んで泣くのを堪えているさくちゃんに、俺はもう我慢出来なくて優しく抱きしめた。

ななもり「さくちゃん、大好きだよ」

自然と出てきた言葉はそれだった。