25日目。 ページ31
「はい、どーぞ。汚くてごめんね。」
入居した当時よりも慣れた手つきで部屋の鍵を開き、彼を招き入れる。
「おじゃまします。」
律儀に靴を揃えてから誰もいない部屋に向かって声を発する彼は、本当に育ちがいいな、なんてぼんやりと思った。
「ごちゃごちゃしててごめんね。」
「え、全然だよ?…寧ろ綺麗だと思うよ。」
「え、ほんとに?」
「ほら、女の子の部屋ってごちゃごちゃしてるイメージだったからさ、少しビックリしたよ。Aちゃんらしいね。」
それ全国の女の子に失礼だと思うよ。事実だけど。何なら春斗くんのファンは今の言葉聞いたら失神しちゃうよ。
「嬉しい、ありがとうね。」
比較的部屋に物を置きたくない女子力低めの私だから、春斗くんに褒められて素直に嬉しかった。
「さて、そろそろやりますか。」
準備が整い、液晶画面にゲームのタイトルが表示される。
2人でコントローラーを手にし、意識を画面に集中させた。
・
「ハーゲンダッツ、ゴチになります。」
「うぅ、Aちゃん本当に強かった…」
液晶画面には私の使っていたキャラの下にwinの文字が表示されている。
結果から言えば今回の勝負は私の勝ちだ。
完全勝利とはいかなかったから、勝率は70%くらいだろう。
隣では春斗くんが肩を落とし、しょんぼりとしている。
「春斗くん強くない?ビックリしたよ。」
朝から晩まで一日中ゲームをする生活を一年以上続けていたゲーム廃人の私でもかなり手こずってしまった。そのくらい春斗くんは強かった。
「テトリスだったら負けないのになぁ。」
「春斗くんのテトリスは凄すぎて怖いよ。」
呑気に鼻歌なんか歌いながら,ブロックを積み,消して,恐ろしいスコアを叩き出していく彼の様子は控えめに言って怖かった。所謂ガチ勢、って奴だ。
窓の外を見れば空がほんのりと赤く染まっている。時計を見れば春斗くんが家に来てから、既に3時間半経過していた。
「私、なにか飲み物持ってくるね。何がいい?」
「悪いよ。お気遣いなく!」
「いいのいいの、私が呼んだんだしさ。折角来てくれたんだし、ゆっくりしてって?」
「うう、ごめんね。お茶でいいよ。」
渋々承諾した彼を横目に私はキッチンに向かった。
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チョコ - めっちゃ好きです(( (2020年11月9日 1時) (レス) id: b8ba54da77 (このIDを非表示/違反報告)
ももんが(プロフ) - めっちゃおもしろいです!いい感じにシリアスだったり、ころちゃんの猿キャラだったり、キュンキュン要素だったり…最高です!!さとみくん推しで見に来たんですがこれはるぅとくんオチめっちゃ気になります…これからも期待してます!ありがとうございます!! (2020年3月15日 3時) (レス) id: 43039e50b7 (このIDを非表示/違反報告)
瑞乃(プロフ) - ゆらさん» 返信遅くなりすみません!表現力が乏しいので分かってもらえるか心配していたので良かったです〜! ありがとうございます!励みになります (2020年2月14日 1時) (レス) id: d619556bbc (このIDを非表示/違反報告)
瑞乃(プロフ) - 愛由さん» 遅くなりすみません!ゲーム上手い組のさとるぅと凄く好きなので贔屓してます笑 読んでくださりありがとうございます。 (2020年2月14日 1時) (レス) id: d619556bbc (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - 名前も出されていないのにどのメンバーか分かってしまう私はもはや病気です。。。これからも頑張ってくださいね! (2020年1月2日 23時) (レス) id: 7e1be6dd9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑞乃 | 作成日時:2018年12月16日 23時