未だ其れは遠く【ut】 ページ37
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即席お誕生日おめでとうございますなお話。
_______…
「例えばぁ、やで?好みの男とかはどうなん?」
『...何がだ?』
もう、恋焦がれて数年になる。こんなに夢中になれるとは思いもしなかった。ましてや、こんなに元のタイプと外れた女性に。
可愛いと言うよりは美人だった。
愛嬌があるとはお世辞にも言えなかった。
髪型はロングでストレートじゃないし、男に媚びるタイプでもなかった。
ものすごく頭が切れる人間で、賢くて、品があった。
背筋がいつだって伸びていて、男社会でも確かな地位を得るほどに慕われる、そんなタイプ。
「知りたいやん、Aちゃんぐらいの顔よし、役職よし、実力も器用さも兼ね備えている女性は、どんな奴が好きなんだろうなぁって。」
『...そうだなぁ。...んん、動揺しない男、だな。』
「...それだけ?」
『ああ。』
「へえ!意外とこだわり少ないんやなぁ?」
『まあ、この性格と、このなりだろう?少々のことで動揺してもらっては非常に面倒なんだよ。それが絶対条件だな。』
彼女の胸元には将校以上に贈られる勲章が輝いている。それを見て先程の彼女の言葉に、まあそうだろうな、と心の中で零した。
「...ちなみに俺とかは?」
『どうだかな。』
「まーた、誤魔化す。そんなところも好きなんやけどな?」
『冗談は顔だけにしておけ。』
「流石にそれは傷ついたで。」
俺はうえーんしくしくとわざとらしく泣き真似をして見せた。今日も今日とてからかわれるように躱されるだけだ。本当に泣けてくる。
今までどんなアピールも彼女には通じなかった。彼女の旧友のグルなんちゃらに聞いたところでまともな返事が返ってきた試しもない。トン氏に相談したら「お前煽っとるんか?嫌味か?」とクマの浮いた目でギロリと睨まれた。
他のメンツも当てにならんと判断した八方塞がりな俺は、結局毎日ヘラヘラと彼女の周辺にふらりと現われて、冗談のようなアピールをかますだけだった。
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ちぃ汰。(プロフ) - 雨々さん» ご足労賜り誠にありがとうございます。貴方との出会いはこのシリーズでしたね、拙い私の文章であれど、貴方と繋がるきっかけになれて本当に嬉しいです。一作者としても、一友人としても、精一杯の感謝をここに。 (2021年5月5日 18時) (レス) id: 66362bbae9 (このIDを非表示/違反報告)
雨々(プロフ) - 好きです。ここまでの執筆本当にお疲れ様でございます。あなたの作品に出会えた事、あなた様に出会えた事。本当に嬉しく思います。ありがとうございました。 (2021年5月3日 9時) (レス) id: 0ec44c6a23 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 琴葉さん» 毎度毎度、貴方には本当にお世話になっております。この作品が終えれたのも、貴方のお力添えがあってこそ。こちらこそありがとうございます。続編についてはご期待に添えると良いのですが。御足労痛み入ります。精一杯の感謝を足らぬ言葉でここに。 (2021年4月28日 20時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - 最後の最後まで大好きな文をありがとうございます。そしてお疲れ様でした。もしもまた続編がありましたら、是非とも1ファンとして読ませて下さい。ひとまず、本当にお疲れ様でした。 (2021年4月27日 18時) (レス) id: ba4822cc62 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 琴葉さん» お気に召して頂けたなら何よりでした。とんでもない、身に余る言葉の数々をありがとうございます。是非またお越しくださいね、お待ちしております。 (2021年2月27日 0時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぃ汰。 | 作成日時:2020年7月3日 0時