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優しい人【sp】 ページ16

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貴方の瞳を見ていながら私の背後にはどこかあの人がいた。
「今、何を見てました?」
『貴方の、瞳、なんだけど、』

そこまで言って優しく口を塞がれた。
柔らかい、啄むだけのそれ。同意はなくとも強引さが全く感じられなくて余計に辛かった。

「...大丈夫ですよ。代わりでいいって言ったの俺ですから。苦しまないで。お願い。」

喉がひくりとなった。優しい。優しすぎる。罪悪感でどうにかなってしまいそうだった。体が震える。


「手が冷たいな...。寒いんかな?もっとこっちに寄ったらどうです。」



彼は傍にあったタオルケットごと、私の肩を抱きこんで優しく手でさする。彼の胸に頭を預けるよう促され、そのとおりに私は擦り寄った。とくとくと聞こえる心音がこれまた酷く優しい。この人は全てが優しかった。白くて柔らかい、恐れるほどの、純な優しさ。ほろりと、涙が零れたのを彼に悟られたくて、ぐっと唇を噛んだ。恥ずかしい。本当に辛いのは私じゃないのに。



「...また、泣かせてもうた。ごめん。」



バレた。本当に悲しそうに、なのに笑いながら彼は言った。俺、ダメやなぁ、って。そんな風に言わないで。最低なのは私なのに。否定したかった。なのにひとつも、声が出なかった。私が言うのは、傷に塩を塗る行為に思えたから。




「寝てていいですよ。寝付くまでずっと一緒にいますから。側にいた方が、安心するでしょう?」



逃げるように、彼の言うことを聞いて目を瞑った。ごめんなさい。本当にごめんなさい。目が覚めたら、あの人の記憶が消えていますように。どうか、彼を心から愛せますように。そう願って。




____…



(どうか、私を責めてほしい。)


参考:優しさ/藤井 風

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ちぃ汰。(プロフ) - 雨々さん» ご足労賜り誠にありがとうございます。貴方との出会いはこのシリーズでしたね、拙い私の文章であれど、貴方と繋がるきっかけになれて本当に嬉しいです。一作者としても、一友人としても、精一杯の感謝をここに。 (2021年5月5日 18時) (レス) id: 66362bbae9 (このIDを非表示/違反報告)
雨々(プロフ) - 好きです。ここまでの執筆本当にお疲れ様でございます。あなたの作品に出会えた事、あなた様に出会えた事。本当に嬉しく思います。ありがとうございました。 (2021年5月3日 9時) (レス) id: 0ec44c6a23 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 琴葉さん» 毎度毎度、貴方には本当にお世話になっております。この作品が終えれたのも、貴方のお力添えがあってこそ。こちらこそありがとうございます。続編についてはご期待に添えると良いのですが。御足労痛み入ります。精一杯の感謝を足らぬ言葉でここに。 (2021年4月28日 20時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - 最後の最後まで大好きな文をありがとうございます。そしてお疲れ様でした。もしもまた続編がありましたら、是非とも1ファンとして読ませて下さい。ひとまず、本当にお疲れ様でした。 (2021年4月27日 18時) (レス) id: ba4822cc62 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 琴葉さん» お気に召して頂けたなら何よりでした。とんでもない、身に余る言葉の数々をありがとうございます。是非またお越しくださいね、お待ちしております。 (2021年2月27日 0時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちぃ汰。 | 作成日時:2020年7月3日 0時

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