27歳［４］ ページ21
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忘れられない女がいる。
2年前に別れたきりその姿を見た事はない。
あいつと付き合うまで他にも付き合った女はいたし、経験人数なら両手で数えきれない。
それでも思い出すのはあいつのことだけでそれ以外の女の顔も名前すら思い出せない。
『竜胆の浮気も全部自分のせいって言ってたぞ』
別れた理由は色々あるが俺の浮気が引き金なのは確かだった。
一瞬の気の迷いそんな言葉で誤魔かした愚かな行為をあいつに見られていたなんて。
見られてなかったら平気だったのか？
違う
一度でも裏切った自分の愚かさに反吐が出た。
学生の思い出なんてほとんどないが3年の文化祭だけは鮮明に覚えている。
その記憶のほとんどはあいつの笑った顔で埋め尽くされている。
でもあの時のあいつの目線は別の男がいてどうやって奪ったらいいか悩んでいたら抗争で捕まって会えなくなった。
再会したあいつは男と別れてフリーでこれを逃してたまるかと必死だった。
仕事が好きで夢に向かってひたすら頑張るあいつを応援してるつもりだった。
なのにいつしか俺との関係はあいつの足枷になるようになった。
もともと明るい道を歩けるような生き方をしてなかったので二人で会うときは人目のつかないとこのみだった。
そんな俺が初めて意識した結婚
収入もあるし楽させてやれるって思っていた。
自分勝手で思い上がった考えだと後で気づいた。
それでも選んで貰えなかったショックは計り知れない。
あれから2年
どんな女にも反応しなくなった身体は浮気という咎の呪縛のようだった。
「竜胆不能とかってマジ？」
兄貴に笑われたが別にどうでも良い女を抱きたいわけじゃない。
あいつとの事を思い出せば素直に反応する身体に乾いた笑いが込み上げた。
今日は梵天の取引先との会食があった。
兄貴と一緒にホテルのレストランに案内された。
個室は入る直前に見えたのは2年ぶりのAの姿
正面には三ツ谷がいて楽しそうに食事をしていた。
「帰ってきてたのか……」
2年ぶりに見るAの姿はまた少し大人びて色気が増した気がする。
その視線の先は別の男がいた。
三ツ谷はデザイナーをやってるらしく共通の話しは多いだろう。
楽しそうに笑うAに胸が締め付けられた。
俺はまたこの距離なのか。
俺の好きな女は俺以外に好きなモノがある。
俺はいつまでも一番になれない。
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月華(プロフ) - チヅさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けたなら良かったです！他のお話で気に入って貰えるのがあると良いんですが。 (2022年9月13日 7時) (
レス) @page28 id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
チヅ(プロフ) - メチャメチャ楽しかったな〜(^^)他のお話も読んでみようと思います(^^) (2022年9月13日 1時) (レス) id: eeaef92f1e (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - ふらんそわ。さん» コメントありがとうございます。竜胆は子供と肩車似合いそうだなって勝手に妄想しました😁 (2022年4月4日 8時) (レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
ふらんそわ。 - 私も竜胆に肩車してほしーなー…😏 (2022年4月4日 1時) (レス) id: ce685a0196 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月華 | 作成日時：2022年3月11日 0時
