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少女が庭の方へと振り返れると、縁側には細身の少年と成人男性とほぼ変わらない背丈の青年が立っていた。２人の手には少女が投げ捨てた同じ木刀が握られている。
「おう龍人か。源治も暫くだな」
細身の少年、九世龍人は浅く頭を下げた。
「愚妹を連れ戻しに来ました」
「お久しぶりです。総裁」
高身長の青年、九鬼源治もほぼ同時に、少年の龍人よりも深く頭を下げた。
「丁度いい所に来たな。お前等この馬鹿が部屋を片すまで見張ってろ」
「はい」
「…承知しました」
即答する源治とは逆に龍人は片頬を一瞬引き攣らせてから渋々と答えた。
龍心が去ろうとすれば少女が尽かさず「逃げんのか」と噛み付くが「仕事だ馬鹿野郎」と言って振り向きもせず部屋を出て行ってしまった。
喧嘩する相手がいなくなれば、黙るしかない。その上２人から痛い程視線を向けられバツが悪くなり少女は益々黙り込んでしまう。
庭に響く鹿威しの音が先程より大きく聞こえた気がした。
「さっさと片付けろ。お前一人の我儘で俺たちが迷惑しているのが分からないか」
妙な沈黙を先に破ったのは少女の兄、龍人だった。
「じゃあ先に戻ればぁ？別に２人がいなくてもちゃんと片付け出来る」
「総裁のいう事は絶対だ。例えそれが見たくもない愚妹のお守りでもな」
「逆らえないだけでしょ」
少女の一言が彼の逆鱗に触れたのか、はたまた図星だったのか、龍人は少女に向かって木刀を振り上げた。
咄嗟に頭を庇うように両手を翳す。しかしそれが投げ付けられる前に彼の行動を先読みした源治の手が木刀の柄を掴んだ。
「落ち着け龍人。お嬢も彼を煽るような真似はしないで下さい」
「煽ったつもりはないよ、だって本当の事だもん。あとお嬢って呼ばないで」
「お前いつか絶対に殺してやるからな」
「どうぞご勝手に」
「お嬢」
窘めるように源治が言った。少女は「ふん」と鼻を鳴らしそっぽを向くと辺りに飛び散った破片を拾い始める。
二人は素手で集め出した少女の奇行にギョッと目を剥いた。
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花恋(プロフ) - 更新再開を心よりお待ちしてます (2021年1月30日 3時) (
レス) id: e938aee02d (このIDを非表示/違反報告)
ハチ公(プロフ) - 花恋さん» コメントありがとうございます。不定期更新ですがまた読んでやってください(^^) (2020年7月29日 21時) (レス) id: 5dc992d6af (このIDを非表示/違反報告)
花恋(プロフ) - とても面白いです！これからどんな展開になるのか今からドキドキです^ - ^ (2020年7月22日 22時) (レス) id: 2b0127518b (このIDを非表示/違反報告)
ハチ公(プロフ) - りさん» コメントありがとうございます。嬉しいです(^^) (2020年7月7日 22時) (レス) id: 55961c2479 (このIDを非表示/違反報告)
り(プロフ) - すごく面白いです、更新楽しみにしています！(^^) (2020年7月7日 5時) (レス) id: 0ffa97bc4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハチ公 | 作成日時：2020年7月1日 9時
