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三話 ページ14

何でも屋の依頼に区切りが付いたクロは一か月ぶりに山王街へ訪れた。御贔屓にしてもらえている花屋の夫婦に軽く挨拶を終えてから、彼女が向かったのはスーパーマーケット。
そこでお目当ての食材をカートの中へ放り込んでいると、妙齢の女性二人組が顔を寄せ合ってこちらを見ている姿が横目に付く。何かしてしまっただろうか、とクロが二人組へ目を向けると彼女たちは慌ててその場を離れて行ってしまった。彼女たちの行動を訝しながらも気の所為だと片付けたクロは買い物を続けることにした。
しかし、別のコーナーへと行くとそこでも別の女性たちから視線を注がれることになってしまい、居心地が悪くなったクロは足早にレジへと向かう。
まさかレジでおつりを貰う際に、手を握られ涙目の店員から「頑張って、気を強く持って」と謎の励ましを受けた時は本当に意味が解らなかった。出口を通る頃にはもう気疲れでぐったり。チクチクと差してくる視線にうんざりして、さっさと目的地へと足を向けたその時。女性の金切り声が響いた。
「引っ手繰り!!!引っ手繰りよ!!!」
振り返れば男二人を乗せたバイクがクロの目の前を横切った。その際男の一人の手に女性の物らしき褐色のバックも握られているのも。女性を見れば顔は青褪めてパニックを起こし、近くにいた人たちが駆け付け、スーツを着たサラリーマンが携帯で警察へ電話をしている。相手はバイクだ。
警察がここに来る頃には奴らはバックの中身を持ち去り、空っぽのバックだけが道端で見つかるのが落ちだろう。クロが辺りを見渡せば、目の前で起こった犯罪を茫然と見つめる青年。
彼の傍にバイクを見つけると荷物を放って近付いた。
「ねえキミ」
「は、…え、おれ?」
突然、女性に話しかけられた青年が言葉をつっかえせながら返事をする。
「そう。貴方のバイク少しの間貸して」
「ええ!?そんないきなり、」
「いいから。絶対返す」
クロはしり込みする青年から半ば無理矢理メットと鍵を取り上げた。青年が「ちょっ、おい!」と声を上げるがクロはお構いなしにメットを被ってエンジンを掛けるとアクセルを回す。
ブロォンっ!!!とエンジン音を轟かせ、猛スピードで遠ざかって行く自分のバイクを青年はポカンとした間抜け顔で見送るしか出来なかった。

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花恋(プロフ) - 更新再開を心よりお待ちしてます (2021年1月30日 3時) (レス) id: e938aee02d (このIDを非表示/違反報告)
ハチ公(プロフ) - 花恋さん» コメントありがとうございます。不定期更新ですがまた読んでやってください(^^) (2020年7月29日 21時) (レス) id: 5dc992d6af (このIDを非表示/違反報告)
花恋(プロフ) - とても面白いです!これからどんな展開になるのか今からドキドキです^ - ^ (2020年7月22日 22時) (レス) id: 2b0127518b (このIDを非表示/違反報告)
ハチ公(プロフ) - りさん» コメントありがとうございます。嬉しいです(^^) (2020年7月7日 22時) (レス) id: 55961c2479 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - すごく面白いです、更新楽しみにしています!(^^) (2020年7月7日 5時) (レス) id: 0ffa97bc4b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハチ公 | 作成日時:2020年7月1日 9時

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