居なくなってしまった貴方へ… 2 (ページ8)

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進展ページ8

三十分近く経つが、それらしいビンどころか、ヒントすら見つからない。

「そろそろ引き上げませんか？」

「そうだな…そろそろﾔﾍﾞｪな」

　エイトフットさんは散乱したトランクの物を押し込み、立ち上がった。

「…お二人方、その必要は無いと思いますが？」

　鼻につく喋り方に思わず反応する。

「V…テメェ…」

「そんなに睨まなくてもいいじゃないですか…全く。アナタ達が探しているものを持ってきて差し上げたのに…」

　そう言って嘘っぽい表情を浮かべ、ポケットの中からあるモノを取り出した。

「……おい！それ寄越せ！」

「おや？乱暴はよくないですよ？」

　ニヤニヤ笑ってミスターが持つのは、赤い光の入ったビンだった。

　それが自分の記憶だと思うと、マジマジと見つめてしまう。

「Aさん、そんなに記憶を返して欲しいんですか？」

「元々私のモノです。返してくれて当たり前です。」

　そう言ってミスターを睨むと、ミスターは愉快そうに口をゆるめた。

「やはりアナタには素質がありますねぇ。いいでしょう。記憶を返してあげますよ。」

　あっさり言ったことに私は驚いた。

　でも、その時の私はホッとしてしまい、疑う事を忘れてしまっていたのだ。