192.他人 ページ42
*
「それなら……よかったです」
「俺もよかったと思う。身体は無事でいてくれてるし、それだけで十分」
「記憶も元通りになるといいんですけど、そうじゃなかったら……早めにわたしのことは忘れてください。もっといい人いますよ、玲於くんには」
俺にはもうAしかいないよ、なんて台詞
思っててもすぐに口には出せなくて
「そんなに難しそうな表情しないでください！」って
Aに笑われてしまう。
「記憶なんて……」
なくても関係ない、って続けようとして思いとどまる。
俺は関係ないと思ってる。好きでいられる自信があった。
でもAの気持ちが分からない。
もしかしたら俺への気持ちも
今回のことで失くしてる可能性だってある。
違ったとしても聞くのが怖かった。
俺に関する記憶がないという時点で
さっきの言葉もそういうことなのかもしれない。
そう思ったから言えなくなった。
「なんですか……？」
「ごめん、なんでもない」
「玲於くん、あの……」
「ん？」
「いや、やっぱりいいです。それより……鳴ってませんか？電話」
Aの言いかけたことが気になりながらも
時が経つのは早いもので、もうここを出る時間だった。
「ごめん、もう行かないと。また来る。分かんないこととかあったらなんでも連絡していいから」
「……ありがとうございました。お気を付けて」
Aがどれだけのことを覚えているのか分からないけど
やっぱり最後まで親しくない人に取る態度で
俺にはともかく家族にもこうだったのかと思うと
智哉さんが落ち込んでたのもわかる。
「……玲於！玲於！」
「……え？なに？」
「『なに？』じゃないよ、ずっと呼んでたのにひどくない？(笑)」
「そういえばAちゃん大丈夫なん？」
「そうだ、来る前に病院行ってきたんでしょ？」
「あー、うん。元気そうでした」
「ホント？俺もお見舞い行きたいなー」
「いや、会わないほうがいいと思う」
「え、なんで？」
「……玲於、なんかあったでしょ。さっきからちょいちょい変じゃない？」
亜嵐くんにはお見通しだった。
Aに会いに行って、みんなと合流してからも
どこかずっとAのことを考えてて
何ができるだろう、どうしたらいいんだろうって
頭がいっぱいになっていた。
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はな*(プロフ) - Miiiiさん» お話読んでいただいてありがとうございます！今後もそういったネタ挟んでいけたらな…と思っております。引き続きお付き合いいただけると嬉しいです！ (2020年11月16日 0時) (
レス) id: 27dc132a0b (このIDを非表示/違反報告)
Miiii(プロフ) - 一気に読みました！面白かったです！キスの予約の所ニヤケ転げました。他にも語りたいけどネタバレになるので黙ります。 (2020年11月14日 12時) (レス) id: 35755ecf0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はな* | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ge_hana_/
作成日時：2020年11月12日 18時
