彼女からキスを盗む方法 Ⅲ【Reo】 (ページ37)

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137.承諾ページ37

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龍友くんが言ってたことを思い出して
なんだか嫌な予感がしつつもAはきっと
いくら聞いても本当のことを話してくれないだろう。

それに田鍋遥と2人でマンションに入ってったり
抱き合っていたなんて話も聞いてしまってるし
色々と説明がつかなくて余計に混乱する。

想像だけでは色々と確信が持てないまま1ヶ月が過ぎた。
あれからAと会うことはなかったし
メンバーとの会話に名前が出てくることもなかった。

ある日SNSをチェックしてると見たくもないのに
田鍋遥のニュースが目に入る。

【田鍋遥、練習中に怪我開幕間に合うか】

思わず詳しく読んでしまったが、記事の内容は
練習中、田鍋が左腕を打撲したというもの。
チームメイトの誤送球が原因。
全治1〜2週間とみられ、
開幕に間に合うかどうかというところらしい。

SNS上では荒れに荒れていて
試合中でもないのにこんなことが起こるのはおかしいとか
避けられなかったのかとかたくさん書かれているし
なによりも怪我をした時の目撃者がいないようで、
状況が把握できていないのだという。

ちょっと可哀想だけど、
Aがそばにいてくれるんだろうと思うとため息が出た。

そんな記事を読んだ数日後、
突然智哉さんからの連絡が入る。

『もしもし、お疲れ様』

「お疲れっす」

『ごめんね、突然』

「いや……なんかありました？」

『あー……まずごめん。兄として謝る』

「いいっすよ、智哉さんは悪くないじゃないですか」

別れたこと、
智哉さんの耳にも入ってるんだなってわかる。

『いや色々悪かった。あと今日電話したのはお願いがあって』

「……なんすか？」

『佐野くんに会いたがってる人がいるんだけど、会ってもらえないかな？』

「誰ですか？」

『……遥。どうしてもって頼まれてさ』

「はぁ、俺は話すことないっすけど」

『だよね……(笑)でも直接話したいみたいで…お願いできませんか？』

「……分かりました」

何を話すことがあるのかよく分からないが
智哉さんの頼みだし渋々了承した。

ちょうど怪我の記事を読んだ1週間後に
智哉さんがやり取りを介してくれて
田鍋遥と会うことになった。

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