123.要望 ページ23
*
「おきて！玲於くん！おきて！朝！」
「んー……」
「わっ、ちょっ」
起こしに来たAの手を引いて
腕の中に閉じ込める。
「……朝ごはんできてるよ」
「……5分だけ」
「だめ、3分ね」
「ケチ」
「起きてるなら布団から出てください」
「まだ2分ある」
「もー……遅刻しても知らないよ？」
「だいじょーぶ」
眠いのは眠いけどちゃんと頭は働いてるので
安心してください。
「はい、3分経ったよ」
「わーったよ……」
昨日のこともあるし言うこと聞いとかないとね？
「ほら、今日は玲於くんの方が出るの早いんでしょ？」
「ねみー……」
「ふふ、寝癖ついてる」
遅刻しても知らないなんて言いつつちゃんと時間見て
間に合うように起こして準備してくれる。
「いってきます」
「はい、いってらっしゃい」
軽くキスして手を振って見送ってくれて
もうすっぱ抜かれてもいいから一緒に住みたいかも……
うちにいてほしい……
.
その後、田鍋遥のいるチームはリーグ優勝を決めて
亜嵐くんの出てるドラマは近々放送が始まる。
「亜嵐さんかっこいー……」
「お前さっきからそれしか言えないの？」
「だってー誰かさんが勝手にわたしが楽しみにしてたお菓子食べるから悪いんだよ」
「さっきも謝ったじゃん……別のやつ買ってきてやっから」
「違うんだって！あれは貰い物だったのに。ちゃんと謝られてないし……」
亜嵐くんがドラマの番宣で出てる
バラエティ番組を観ながらずっと「かっこいい」だの、
「亜嵐さんなら素直に謝ってくれそうなのに」とか
ぶつぶつ言ってる。
元々はAのお菓子を断りもなく食べてしまった
俺が悪いけど、ねちねち引きずりすぎだろ……
食べ物の恨みはこわい……
「じゃあ何したら許してくれんの？」
「えー？そうだな……」
にやにやした顔で俺の方を見てくる。
何を言われるのか……
「付き合ってほしいとこあるんだけど」
「どこ？」
「お兄ちゃんがおいしいって言ってた中華料理屋さん」
「まあいいけど」
「あと……」
「まだあんの？」
「筋肉触らせて！」
「却下」
「えーじゃあ亜嵐さんに触らせてもらお」
「亜嵐くん忙しいから無理だよ」
「そういうマジレスいらない」
許しを乞う側なのに内容選んでも何も言われないし
ツッコむとこ相変わらずおかしい。
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作者名：はな* | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ge_hana_/
作成日時：2020年10月17日 7時
