122.反省 ページ22
*
「も……やだぁ……、きらい……」
「え……マジごめん」
「ちがっ……」
泣いてるし、嫌い、なんて言われてしまって
面倒というよりどう扱っていいか分かんない。
「っ、れおく、……ごめんっ」
「……え」
「ごめんね」
「ごめんね」と言って抱きついてくる。
嫌われてはない……？
そっと背中に手を回して
とんとん叩くと落ち着いた様子だ。
「ごめんなさい……」
「……あ、うん」
どこに対して謝られてるのかあんまり分かってないまま
とりあえず返事した。
「えー……ところで、なんで謝ってんの？」
「……え？なんでって……怒っちゃったから」
俺に怒ってしまったのを反省していたらしく
また泣いてしまった自分が嫌で
さっき「嫌い」と言ってたみたい。
「……だからごめんね、嫌だったよね」
「いや……別に……こっちこそ嫌がるようなことしてごめん」
「ううん、心配になって気にし過ぎちゃってごめんなさい」
「もっと危ないことしてるときもあったのに」
なんて自嘲ぎみに笑っている。
「玲於くんの前では泣いてばかりだね。ごめん」
「泣き虫でいいんじゃね？俺の前では。それがAなんでしょ？」
「……うん。ありがとう」
「嫌われたかと思ったわ」
「玲於くんは大好きだよ……？」
「……わかったから、もう寝ていい？眠いんだけど」
「そうだね。ごめんね、寝よっか」
準備を済ませ、先にベッドで待つ。
いつも通りの光景にちょっと安心する。
「早く」
「ふふ、うん」
あたかも自分のベッドかのように隣を叩くと
ささっと布団に入ってきた。
「……Aが思ってるより大丈夫だから」
「……うん？」
「寝よ」
「うん。おやすみ」
まあもし何かあっても
そんなに大事にはならないと思うし……
でもAのことだから
きっと責任とか感じてしまうんだろう。
外では小さな体で忙しそうに動き回って
周りの人から愛されてるようなそんな姿を見て
帰ってきてから一度は怒ったけど
自己嫌悪になって泣いて
今、やっぱり疲れてたのか隣で
子どもみたいな顔して寝てる姿を見ていると
まっすぐで優しくて強がりなAを
俺がそばで守ってあげないと、って改めて思う。
「……おやすみ」
*
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作者名：はな* | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ge_hana_/
作成日時：2020年10月17日 7時
