117.鳥肌 ページ17
*
「なんだかんだ田鍋選手のことは応援してるんすね？」
「まあねー……(笑)やっぱり一応弟みたいなもんだから」
「遥くんはどう思ってるか分かんないけどねえ……」
「まあ邪魔に思われてただろうけど」
「いっつも邪魔しにきてたもんね。そしてお父さんに怒られて(笑)」
「え、田鍋選手と昔から仲いいの？」
「そうです」
「幼馴染なんで」
「へー！小さい頃からすごかったんすか？」
「やっぱり何やらせてもできる奴でしたね。俺なんか父親プロ野球選手だったのになんもできませんでしたから(笑)」
9回表は0点に抑え、裏に入る。
これで点を入れられなければ負けだ。
「サヨナラ見たいな〜」
「ですね」
「8番からでしょ？いけるかなー」
相手チームは抑えの外国人ピッチャーを出してきた。
Aも智哉さんも「あー……」と難しい顔をする。
「まあここは勝ちパだよなあ……打てるかな……」
「厳しそー」
8番は代打が出され、粘って四球で出塁。
9番は送りバントを成功させた。
1番は空振りでアウトになったが
2番がまた四球で出塁し、ニ死1,2塁。
「今日調子悪いかも……いける」
「うわー面白くなってきた！4番に繋げ！」
3番がヒットを打ち、ニ死満塁に。
球場の歓声は今日で一番すごいことになっている。
隣のメンさんも声がでかい。
「おおお！繋いだ！いけいけ！」
そうして回ってきた田鍋遥の打席。
上から見ててもタオルを掲げてる人が多く、
人気があるのがよくわかる。
1球目、見逃しでストライク。
2球目は打ちに行くもファウル。
あっという間に追い込まれた。
「あーー」
「遥はここからです」
3球目、4球目とボールが続き
5球目、大きく振ったバットに当たったボールは
ライトスタンドに吸い込まれていった。
「うおおおおお！サヨナラ満塁逆転ホームラン！」
「すげー……」
5-2のサヨナラ勝ち。
打った瞬間ホームランだと確信し
バットを投げてダイヤモンドを一周する
田鍋遥の姿を見て思わず鳥肌が立つ。
メンさんと智哉さんがハイタッチしている。
ホームに戻ってくるなり水をかけられて
びしょ濡れになる田鍋選手。
Aも嬉しそうに笑っていた。
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作者名：はな* | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ge_hana_/
作成日時：2020年10月17日 7時
