斉木空助のψ愛２【斉木楠雄のψ難】

ψ強美少女との遭遇 ページ48

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「兄だろうね」

「兄でしょうね」

「なんで分かったの！？せいさくしゃ側の人間なの！？……ううん、違う！やっぱり怪人エスプレッソ伯爵だ！逃げようミルクＴガール！」

「えっ！？ちょ、っま、斉木さんっ」
必死に引っ張ってくる男の子の手を柔く止めながら、斉木さんを見る。

「あー……いいよ、迷子センター連れて行きなよ。僕どっか適当にブラブラしてるから〜」

「え！？」


斉木さんはゆる〜く笑いながら、手を振ってどこかへ歩き出してしまった。

……に、逃げた……、逃げやがりましたよあの人……。

衝撃と少しの苛立ちを覚えたが、目の前の迷子らしき子を見放す訳にはいかない。
この暑い中ずっと外に居たらすぐ熱中症になってしまう。とりあえず歩きましょう、と言って男の子の手を引いた。


「あ、あれ？怪人エスプレッソ伯爵逃げた？僕たち勝ったんだ！！」

「不戦勝ですね……」

「ミルクＴガール大丈夫だった？薬とか盛られてない？せんのーされてない？」

「いつもミルクＴガールはそんなエゲツない事されてるんですか！？それらはテレビで流していいんでしょうか……」

「？ うん、結構されてるけど、いつも改造人間サイダーマン２号が助けてくれるでしょ？」

「そ、そうなんですね」


地球の平和を守るのは中々にハードなようだ。

子どもを探している親の姿がいないか目で探しながら歩いているが、ここには居ないようだ。
遊園地の案内図を見て、迷子センターの場所を確認する。

あ、直ぐそこにあるじゃないか。……ん？何だあの黒山の人だかりは……。


「うぉおおお！！彼女の探し人を探せぇええ！！全力でだ！！」

「５歳くらいの男の子だ！ライムグリーンの髪で、キャップを被っているらしいぞ！」

「俺は必ず見つけ出す！彼女のお役に立つんだ……！」


何これ宗教集団？

大勢の男性達が目を血走らせながら、蜘蛛の子を散らしたように走っていく。
しかもキャップを被った男の子って……この子じゃないか！

まずい、この子はそんなヤバめな偉い人の子どもだったのか。
今すぐ手を離して逃げてしまいたいが、そんな事したら余計に事態が拗れそうだ。


「おい、あの子もしかして……」
あ、もうバレた。

「……すみません、この子迷子だよね？代わりにおじさんが迷子センターまで連れて行ってあげるよ」

「いや、俺に行かせてくれ」

「儂が適任じゃ！」


何だこの醜い争いは……「じゃあ俺が！」「どうぞどうぞ」なんてどこぞの体当たり芸人トリオのネタなんてしてたら、上からタライを落としたいくらいだ。

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