病み上がりのψ難5 ページ36
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ガーン……とショックを受けていると、背後から手を回されて、グッと後ろに引き寄せられる。
「残念だったね〜。頼りの15号が寝返っちゃって」
「じゅ、15号は悪くない、です」
唇が耳に触れるんではないかという距離で囁かれ、耳が麻痺したように痺れてくる。動揺してたどたどしい話し方になってしまった。
声までカッコイイとは何事だ。
神は斉木さんに二物も三物も与えすぎである。世の中不公平だ。
「ていうかさ、今君にアンドロイドをフォローする余裕あるの?僕に手出されちゃうよ」
「っわ、ちょ、」
ドサッ、と斉木さんは私を支えながら、15号の敷いた布団の上へと身体を倒した。
抵抗しようとしたが、体格差以前に運動神経が壊滅的なので、無駄な足掻きだった。
前から倒れた形になった私は、反射的に布団に手をついた。
すぐ後ろで、斉木さんが小さく笑う。
「あーこの体勢結構イイかも、フフ」
……見えなくとも分かる。
今斉木さんは、鼠をいたぶる猫の目をしているに違いない。
まずい、このままの流れで行ったら確実にめくるめく大人の世界へ行ってしまうじゃないか。フラグ間違いなしである。
……ん?何を言ってるんだろう私は。
とにかく、この状況を打開せねば。
うつ伏せている身体を、ゴソゴソと動かして、仰向けの状態にする。
か、顔が近い……。いつも思うが、この人パーソナルスペース狭くないか?
「さ、斉木さん、こういった事は本当に愛し合っている者同士で行うものなのでは?」
「うん、だからいいんじゃないの?」
「え?」
「君の事好きだし」
今、サラッとすごい事言ったような……。いやいやいや、まさか。
「……そ、それは私が『研究対象』だからですよね?」
「君が予想以上に鈍いからハッキリ言うけど、僕は『研究対象』にキスなんてしないし、性的興奮もしない。僕が君に接触するのは好意を抱いているからだ」
「…………、」
「これで勘違いの仕様もないでしょ?」
斉木さんが、私を好き?好意を抱いてる?
夢?夢なのかこれは。都合の良い夢でも見てるのか?
きっと夢だ、そうに違いない。そう思って斉木さんの頬をムニムニと触ってみた所、リアルな肌触りを感じた。
げ、現実だ……。
私、斉木さんに対して勘違いして暴走したり、からかわれたりしてるだけだった筈ですけど。
そんな私のどこが良かったんだ?
あ、でも六神さんと喫茶店に居る時、そんな所が『可愛い』と言ってくれていた。
……え?本当に?
本当にこんな、私にとって都合の良い展開になっていいのか?
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あああ - 30ページ、アルカイックスマイルじゃないですかね、、、? (2020年4月3日 18時) (レス) id: 400d3f0549 (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - いふれんさん» 改造人サイダーマン2号は、まさかのあの方です笑 (2018年8月27日 23時) (レス) id: 59706cc241 (このIDを非表示/違反報告)
いふれん - 遊太君が言う、改造人間サイダーマン二号ってま、まさか……あの人か (2018年8月27日 16時) (レス) id: 083c75066f (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - ポエムさん» なんと…!嬉しくてつけ上がりそうです(笑)空助さんらしいとかホント嬉しいです!羽純まで可愛らしいなんて言って下さってニヤニヤします…!応援ありがとうございます! (2018年8月17日 17時) (レス) id: 59706cc241 (このIDを非表示/違反報告)
ポエム(プロフ) - やばい…めちゃくちゃ面白いです…!!空助がまさに空助らしい口調で最っ高…羽純さんもとても可愛らしいです…!陰ながら応援しております…!!! (2018年8月16日 21時) (レス) id: 40cccc9e32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさぎ | 作成日時:2018年7月15日 17時