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『子供がいるでござる』
『受動喫煙で肺を黒くさせるつもりでござるか』
「あ?」と睨むも、また子はガキを抱えてこちらから遠ざかっている。口からは自然と舌打ちが漏れ、「なんで俺がガキに気を遣わなきゃならねェ」と文句が零れた。
『パパだからでござろう』
『……万斉、お前面白がってんだろ』
そんなことはないと首を横に振るうが、口元がニヤけてちゃ説得力のカケラもない。
『ついでに酒も控えよ、パパ』
『……てめェ』
「殺す」と殺気を出す俺に万斉は「物騒でござるよ」「パパ」とまたあの二文字を口にする。その二文字はどうも心臓を素手で撫で回されているくらい耳障りだ。
そうして下に武市が車を停めてあると告げた万斉は、また子の手からガキを受け取ってそのまま俺に流す。
ガキは俺の足元に立ち、また子の「良い子にしてるんスよ」の言葉にコクコクと頷いていた。そうして俺の方へ顔を向け、「お名前教えてください」と質問をしてくる。
『……高杉』
『わたしは、Aです』
「おねがいします」と頭を下げるその動作がやけに慣れており、ガキらしくねェところがまた俺に惑いを増やしていく。
苗字は坂本の話では覚えてないようで、俺はこのAというガキを明日から幼稚園に通わせながら半年もの間面倒を見なくてはならない。
取り敢えず自社ビルの一階へ降りた俺たち2人は、武市の待つ車に乗り込んだ。
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - 昔の自分と比べてしまいました。あなたの作品がとても好きです。この作品に出会えたこと、心から感謝しています。涙を拭きながら、読み進めようと思います。 (2019年1月27日 16時) (レス) id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - こんにちは、コメント読んでいただけているかどうか…でも、もしよんでくださるなら。わたしは、ハルさんの作品に心底惚れています。自分の書きたいものをえがくことって素晴らしいと思うんですよね!だから、周りの意見に惑わされず「ハルさんの作品」を待ってます (2018年5月2日 0時) (レス) id: a53110be97 (このIDを非表示/違反報告)
kaya(プロフ) - 今更...な感じがしますけど、コメント失礼します。私、この作品読みながらずっと泣いちゃってました。素晴らしい作品だと思います。何回読んでも飽きないですね!感動しました。 (2018年4月2日 22時) (レス) id: 504932b45f (このIDを非表示/違反報告)
ハル@六月に一時帰還予定(プロフ) - みなさんコメントありがとうございます〜( ; ; ) お一人お一人にご返信をしたいのですが、下の方のコメントが消えてしまいそうなので割愛させていただきます( ; ; )無念……。沢山の励ましのコメントを胸にこれからも頑張って行きますので、応援お願いします!! (2018年2月1日 17時) (レス) id: 9ebc1e1d82 (このIDを非表示/違反報告)
クローバー - 心に響きました。恋愛要素など無くとも、人を感動させられる小説は素晴らしいと思います。これからも頑張ってください。応援しています! (2018年1月12日 20時) (レス) id: acfcc66616 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年10月6日 18時