page170 いつも通りではないもの ページ30
ーあんsideー
「おっはよーなる！」
校門の近くで見慣れた女の子に声をかけると、桃色ボブの髪がふわりと揺れ、黄色い瞳が自分をうつした。
なる「あんちゃん、おはよー！」
いつも通りの景色、いつも通りの挨拶。しかしあんの心境はいつものようにはいかなかった。
あん「……ねぇ、なる。いとから連絡きた？」
昨日の出来事からいとは音信不通になった。学校に来るかも分からない。
なる「ううん…あんちゃんもない？」
黙って首を縦に振ると、なるは表情を曇らせた。
なる「大丈夫かな…いとちゃん…。」
重たい空気感のまま、下駄箱で靴を履き替える。教室へ行こうとした時、スマショの着信音が鳴った。あんはその場で立ち止まり、電話をかけてきた相手を確認した。
あん「え、A！？」
その声に反応し、なるもスマショを覗き込む。応答の文字をタップすると、通話時間がカウントされ始めた。
「あ、もしもしあん…？」
電話越しにAの声が聞こえた。体調は回復したのだろうか。
あん「もしもし？A？大丈夫なの？」
「うん、もう大丈夫だよ。朝から電話かけてごめんね。」
その言葉にほっとため息をつく。
あん「そっかよかった…。で、どうしたの？何かあった？」
「あ、その……１つお願いがあるんだけど。」
Aから頼み事をするなんて珍しい。そんなことを思いながら彼女の声に耳を傾ける。
「涼野さんに…会わせてもらえないかな…。」
あん「えっ。」
予想外の言葉に思わず声が出てしまった。あんなことがあったのに、自ら会わせてくれなんて、一体何を考えているのだろう。
「誤解を解きたいの。私…涼野さんとも仲良くなりたいし……。」
あん「い、いいけど…多分直接言ったら会ってくれないよ。」
いとからしたら、彼女は今最も会いたくない存在だろう。Aが話したがってると言ったら、拒否するにきまっている。
「うん……だからあんに協力してほしいの。」
あん「え？」
「涼野さんをどこかに呼び出して。」
大胆な作戦だが成功率は高い。あんやなるが呼び出せば、確実に来るであろう。
あん「…分かった。でももう少し日をあけてからの方がいいと思う。」
「うん、もちろんすぐじゃなくていいよ。……ありがとうあん。」
あん「いいえ！また連絡するから。」
向こうが通話を切ったのを確認し、通話終了の文字をタップする。隣でなるが心配そうな目で自分を見つめていた。
あん「……解決するといいね。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 226人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kiko(プロフ) - コノミさん» コノミさん、いつも読んでくださりありがとうございます！本当ですか！とても嬉しいです励みになりますｯｯどうぞこれからもよろしくお願いしますね♪ (2020年4月9日 18時) (
レス) id: 92cacadd3e (このIDを非表示/違反報告)
コノミ(プロフ) - めちゃくちゃずっと読んでてめちゃ胸キュンします！！このシリーズは大好きなので 頑張ってください！ (2020年4月9日 0時) (レス) id: c314281d85 (このIDを非表示/違反報告)
kiko(プロフ) - えぃかさん» えぃかさん、読んでいただきありがとうございます！好みｯｯとても嬉しい褒め言葉です……まだまだ下手な文章ですがこれからも見ていただけると嬉しいです♪ (2020年2月11日 2時) (レス) id: 92cacadd3e (このIDを非表示/違反報告)
えぃか(プロフ) - めっちゃ好みの小説です！！続き楽しみにしてます！更新頑張ってください！！ (2020年2月11日 1時) (レス) id: 12b917d369 (このIDを非表示/違反報告)
kiko(プロフ) - いちごみるくさん» いちごみるくさん読んで頂きありがとうございます！そう言ってもらえて光栄です……(><)嬉しいです頑張ります！ (2020年1月13日 14時) (レス) id: 92cacadd3e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kiko | 作成日時：2019年3月24日 2時
