page53 深まる謎 ページ5
A「ネックレスは…あるので大丈夫です。」
思ったよりはっきり断られてしまった。
大切なネックレスがあったのかな…
コウジ「そ、そっか。ごめんね。」
Aちゃんは眺めるだけで何も口に出さない。なんだかまずい空気になってきたので、移動することにした。
コウジ「(…う〜ん…何をすれば喜んでくれるのかな…)」
Aは相変わらず表情を変えずに隣を歩いている。
コウジ「あ。Aちゃん。お茶でもしようか。」
とっさに思い付いたことを言うとAはパッと振り返った。
A「お茶………」
珍しく目を輝かせコウジを見つめている。
お茶するのが好きなのか…
人の少ないオシャレなカフェに入るとAはキョロキョロと周りを見渡し、すすんで席に向かった。
その様子は少しだけ綾瀬なるに似ている。
コウジ「何がいい？好きなの選んで。」
Aはしばらくの間メニューを見つめ、思い付いたように呟いた。
A「ホット…ミルク……」
ホットミルク…！？確かりんねちゃんも好きだったはず…この子まさかりんねちゃ…
コウジ「オッケー。ホットミルクね。」
うん…深く考えるのはやめよう。全部Aちゃんの記憶しだいだし………
注文を終え、飲み物が運ばれてくると、またもやAは瞳を輝かせた。
コウジ「…好きなの？ホットミルク。」
A「あ…なんか飲みたくなって…」
美味しそうにホットミルクを飲むAを見てほほえましくなった。
A「あの。コウジ…さん…は、３人でいると楽しいですか…？」
いきなりの質問に思わず飲み物を噴き出しそうになった。今まで自分から話すことがなかったのに。
コウジ「えっ…？それは…オバレのことかな？」
Aは首を縦にふった。
コウジ「…うん。もちろんだよ。３人でいると お互いを高めあえるし…っていきなりどうしたの？」
A「そうですか…いえ、なんでもありません…」
本当に変わった子だな…
コウジ「Aちゃんは、友達のこととか何も覚えてないの？」
A「友達…？」
呆然としたAを見ているとなんだか可哀想になって慌てて質問を取り消した。
コウジ「ごめんごめん。まだ思い出せないよね。今はプリズムショーに専念した方がいいか。」
A「………(友達…)」
Aちゃんは前よりだいぶ話してくれるようになった。でもその分、謎が深まるばかりだ。
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作者名：kiko | 作成日時：2018年7月1日 16時
