page86 幽霊騒動 ページ38
カヅキ「なんだよヒロ、早く言えよ〜……」
ヒロ「だってカヅキ寝てたんだもん。」
スタンを見つけたのは夜。わざわざ起こすわけにもいかないもんね………
カヅキ「……まぁ、見つかって良かったな。A。」
A「は…はいっ。」
スタンも空中でくるくるとまわっている。
機嫌がいいようだ。
カヅキ「そういえば…」
カヅキが話そうとしたとたん、ギャーギャーと言い合う声が下から聞こえた。
ヒロ「あれ…どうしたんだろ。」
カヅキ「………ったく…喧嘩もほどほどにしろって言ったのに………」
そのまま階段を下り始めた２人を見て、Aも自然についていく。
２人は後輩達の話に夢中でAの方を見向きもしなかった。
Aも特に何も考えず、ただ「気になる」という感情のまま動いていた。
食堂の近くまで来ると話し声が丸聞こえである。
「ほんとほんと！さんざん否定してたけど、タイガきゅんの言ってることあってるかも！」
「だろ！？やっぱなんかいるよな！？この寮！」
なにかいる…？
カヅキ「おい、どうしたんだよ…最近揉めてばっかじゃねーか。」
その時カヅキが会話に割って入った。一瞬で場の雰囲気が変わる。
「「か、カヅキさん…」」
ヒロ「喧嘩は良くないなぁ。チームワークは大切だよ！」
ヒロが入ったことで、また穏やかな雰囲気に変わった。
カケル「で、でも…ヒロさん達はありませんか！？こういう体験。」
ヒロ「体験って？」
カケルは顔を青くして話し始める。
カケル「き、昨日、夜中に水を飲みに食堂にいったんすよ。そしたら、一瞬だったんすけど、廊下の角に消える女の人がっ…」
その話を聞いて違う意味でこっちも青ざめた。
カヅキ「そ、れは…」
ヒロ「ユキノジョウか聖さんじゃない？」
カケル「髪色が違った気がするんすよ！」
やっぱりそれって私のことだよね…
あぁ〜昨日スタンの事ばっかで、周りの事考えてなかったかも…あれ。というか私今…
寮生と接触してはいけないという事にやっと気付き、慌てて壁側に寄り隠れる。幸いヒロとカヅキが入り口に立っていたので誰もAの存在に気づかなかった。
帰った方がいいんだろうけど、話の途中だったのに帰ってもいいのかなぁ…
A「ヒロさ〜ん…」
小声でヒロを呼ぶ。しかし気づいてくれない。
ヒロ「でも、聖さんって夜中にうろうろ…」
その時ヒロと目があった。血の気が引いた顔がさらに青くなるのが分かる。
ヒロ「あっ！用事思い出した！ごめん！」
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作者名：kiko | 作成日時：2018年7月1日 16時
