page83 行方不明 ページ35
ーAsideー
どうしたものか。スマショを確認しても、部屋の隅々まで探しても、スタンの姿が見当たらない。一体どこへ……
カヅキ「す、スタンって、まさかいなくなったのか？」
質問にうなずくと、カヅキはさらに動揺し始めた。
カヅキ「部屋は？」
A「いないです。」
カヅキ「スマショは？」
A「いないです。」
質問に答えるたびカヅキの顔が青くなっていく。
カヅキ「……よし、探すぞ！」
急にキリッと表情を変え、カヅキは玄関に駆け出した。Aも慌てて追いかける。
外へ飛び出すともちろんそこは暗闇で、街灯が無いところは何があるのか全然分からない。
カヅキ「うーん…とりあえず、あいつが行きそうな所は？」
A「公園、でしょうか…」
カヅキ「公園だな。よし行くぞ！」
こんなに暗いのに、なぜかカヅキだけは明るく見えた。スタァのオーラ、というやつなのか。それともカヅキの元気さが影響しているのか。
あるいはその両方か。
必死に辺りを見回していたカヅキだったが、時計のついた腕に１度目をやった。
カヅキ「やべぇ…結構遅い時間だな…A、離れんなよ！」
同時に手を握られる。まだ肌寒いのに、カヅキの手はとても暖かかった。
その後も捜索を続けたが、スタンが姿を現すことはなく仕方なく断念して寮に戻った。
カヅキ「……また明日探そう。もう危険だし、明るくなってからの方がいい。」
A「………」
どうしていなくなってしまったのだろう。
嫌われた？
お世話の仕方が悪かった？
何か悪いことを言ってしまった？
考えれば考えるほど自分が嫌になる。しばらく黙ってうつむいていると、あの暖かい手が頭に触れた。
カヅキ「あんまり考え込むなよ。きっともどってくる。だから今日は早く風呂入って寝ろ。な？」
優しい言葉に励まされ、少しだけ心が軽くなる。そうだ。きっと帰ってくる……
A「わかり…ました…」
そう言ってカヅキと別れ、部屋に戻る。もう一度探してみたが、やはりスタンはどこにもいない。仕方なく１人で風呂に向かった。
A「(お風呂にいるわけないしなぁ…)」
風呂からあがり、静かに廊下を歩くが、頭の中はスタンのことでいっぱいだ。周りの事なんて考える余地もなかった。
？？「ん？あれって…」
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作者名：kiko | 作成日時：2018年7月1日 16時
