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#43 side
彼女が欄干に手をかけた。
体重がかかり、キィ…と音が鳴る。
「何…してるの」
俺は声をかけた。
彼女が、ゆっくりとこちらを見る。その顔に、驚きの色が浮かんでいた。
「あなた…どうしてここに…?」
「ここに入ってくのが見えたから。
なんか…嫌な感じがして」
「もしかして、止めようとしてますか?」
「ああ、もちろん…」
彼女は、フゥとため息をついた。
「止めないでください。
…お願いだから、死なせて。
…あ、でもあなたの目の前で飛び降りても…
発見されたら、あなたがその場にいた事が分かって警察とかに追われるのかな。
それに…目の前で人に死なれるのは、
うん、…死ぬ時まで人様に迷惑かけたくない」
彼女は項垂れたように額を欄干にあてた。
「なんで私、こんな時でも鈍臭いんだろう…」
「…あの、」
「ごめんなさい、ご迷惑をお掛けして。
大丈夫です、今あなたの目の前で死ぬ事はしません…」
彼女は俺の横を通り過ぎ、戻ろうと歩き出した。
…このまま放っておける訳がない。
「待って」
(決意の前で、無力な自分)
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かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年6月10日 21時) (レス) id: b946a130ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るる | 作成日時:2019年6月10日 21時