starlight night (ページ38)

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#43 side

その夜、俺と進路の話をしたその夜、

彼女は一家心中に巻き込まれて亡くなった。

夏頃から既に随分と家庭の状況は酷かったそうだと後から聞いた。

受験する高校を尋ねた時に逡巡したのは、もしかしたらこれから起こることを予期していたのかもしれない。

最後の日に俺を誘ったのは、
俺に出来た事は、
俺の感情は、

…そんな諸々から逃げるかのように俺は宮崎へ行った。

野球に打ち込んで、知らないふりをした。

後悔がもうどうしようもないほどに膨らんでいくのを、直視するのが怖かったから。

幼い恋の、苦い記憶。

俺が助けた時のAちゃんの瞳は、彼女が最後に見せた瞳と同じだった。

Aちゃんが気になったのは、その瞳に見覚えがあって、また同じことが起こるんじゃないかと思ったから。

後悔をもう繰り返したくなかったから。

だから、助けなきゃ、守らなきゃと思った。

もし、今のAちゃんへの思いが恋なら、それでも恋だと呼ぶのだとしたら、

それは俺が過去の出来事を追っているだけ。

15歳の冬に亡くなった友人と、Aちゃんを重ねて見ているだけ。

…それじゃ、駄目なんじゃないか？

昔のことに囚われて、まだ面影を追いかけているだけ。

Aちゃんの事を、きちんと見ていない。
ちゃんと向き合えてないんだ。

これを愛だ恋だと美談に出来るわけがない。

(俺の感情なんて、美しさとは程遠い)