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#43 side

「Aちゃんはもう大丈夫なん?」


ストレッチをしながら山岡さんが尋ねた。

昼下がりの投手練習。


「うーん、まあ今のところは。

ちょっとだけ休みは取ったけど、そのうち復帰できるかなって感じっす」


山岡さん、そして翼は全てを話して相談に乗ってもらえる2人。


「だから今日も早く帰ります」

「は〜ん、最近早いもんな」

「Aちゃんを絶対守んなきゃなんで…」


横で黙って話を聞いていた翼が突然言った。


「由伸、恋か?」



「はぁ?」

「Aちゃんの事好きだろ」


驚いて変な声が出たが、とりあえず翼の背中を叩く。



けれど山岡さんも、俺を見て真面目な顔をする。


「俺も由伸恋してるんじゃないかって思うけどな」


「山岡さんまで…」

「だって、なんでそんなに入れ込めるんだ?

17歳の子をずっと家に置いてて、犯罪とまで言われかねないけどお前はそれを止めようとはしない。

何よりも心配してて何かあったら一番に駆けつけるだろ。

お前をそこまで動かすものは何だ?


最近の由伸は変わったよ、良い意味で。

正直、そこまでしてあげる義理はないんじゃないかとも思ってしまう。

恋愛感情とかじゃなきゃ、何なん?
お前、そんなお人好しだった?」


「…それは…」


言葉に詰まる。上手く説明が出来ない。


脳裏をよぎる記憶。



恋愛感情、なんて、そんな美しいもんじゃない。


蓋をしていた、もっともっと暗い、黒いものが心に流れ込んだ。

俺が変わったとしたら、それは、繰り返したくなかったから。


「…そんなんじゃないっす」



似ている。

似ているんだ、Aちゃんは、とても。





誰に?




(思い出した夜)

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かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年6月10日 21時) (レス) id: b946a130ab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:るる | 作成日時:2019年6月10日 21時

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