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出て行った、その夜です。
私は記憶を呼び起こした。
私がこっそり貯めていたお金を、父親は根こそぎ盗んで出て行った。
その夜に早速パチンコに使ったものの、その日は大敗。
イライラした父親は、隣の台にいたお客さんのお金をこっそり盗もうとしたらしい。
それに気付いて、怒ったお客さんが何か言うと、
父親は逆ギレした。
お酒が切れていて、精神的にも不安定だったらしいとは弁護士の話。
精神がやられていたら、何をやっても許されるのだろうか。
父親はそのお客さんを殴った。
倒れた上に馬乗りになって、殴り続けた。
いつもとは殴る相手が違って、加減が分からなくなったのだろうか。
店員さんや他のお客さんが必死になって止めたようだけれど、父親には何も見えていなかった。
ひたすらに、罵倒の言葉を並べて相手を殴り続けた。
救急車とパトカーが到着した時、お客さんはとっくに意識を失っていた。
そして父親は現行犯で捕まった。
皮肉なもので、
ここまで一度も救いの手を差し伸べてくれなかったわりに、
犯罪となるとすぐに連絡が来るのだ。
そしてまた今日も。
「その方が、今日亡くなったと。
先ほど、連絡がありました」
(手の震えが、止まらない)
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かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年6月10日 21時) (レス) id: b946a130ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るる | 作成日時:2019年6月10日 21時