☆191 ページ6
「ほんま突然すいませんしたー！」
「気にせんといてー！こちらこそ楽しかったわあ」
「あざっす！お母さんお元気で！」
次の日の朝。
ぺこりと頭を下げて、ショウさんが外で待っているタクシーへと踵を返す。
すかさず外までお見送りするお母さん。
玄関で腕を組んで立ってるお父さんにじゃあね、と言って、私も追いかけようとしたとき。
「平野くん、また連れて来いや」
「………え？」
「気いつけて帰り」
「う、ん」
タクシーのおっちゃん待たせてんでーの声に、慌てて外へ出て乗り込む。
すぐに発進したけど、随分と長い間、ショウさんとお母さんは手を振り合っていた。
「アーーー たのしかったなあ」
「…それはよかったですね」
「えーまだ怒ってんの〜？ごめん〜ごめんて〜〜」
「怒ってないですよ」
「怒ってんじゃんか〜」
「本当に怒ってないですって！」
それよりも、気になるのは
さっきのお父さんの言葉。
お父さん、ショウさんのこと気に入ったのかな？
あんなこと言うなんて。
さっき親しげにしてたお母さんでさえ、言わなかったのに。
「ちぇ、東京戻ったら仕事いっぱいだ〜…」
「いい事じゃないですか」
「う〜ん……」
「売れないデザイナーがどれだけいると思って！」
「う〜ん……」
「ちょっと？聞いてます？」
「………あのさ」
不自然な間ができた。
ぷつりと会話が途切れて、静かになる車内。
微かに聞こえるラジオが関西弁で、変な感じがした。
じ、っと、横から見下ろされているのがわかる。
…なんで続き、言わないの。
なんでそんなに見るの。
「…………」
「…………」
「………やっぱ、いーや」
「な、……なんですか、気になるじゃないですか」
「……うーんとね？」
「はい」
「………就職活動してるよね？」
「してますけど」
「うん……」
「………あの、」
「このままうちで就職してくれたらええのになあ！と！平野くんは思います！」
「………」
言い終わった途端、
プイとそっぽを向かれる。
…ショウさんらしくない。
いつも、優しいようで強引で、
なにか言うのをためらったりしないショウさんが。
そして、その内容は。
「ショウさん」
「………なに」
「考えますね」
「………うん」
「全部、考えますから」
全部。
今のことも、昨日のことも。
このままじゃ、ダメだってわかってるから。
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◯◯(プロフ) - タイムマシンみたいなコメント欄です( ◠‿◠ ) (7月13日 1時) (
レス) id: de6e03f4bf (このIDを非表示/違反報告)
◯◯(プロフ) - 多分昔に2018年から年一ペースで読んでるとかいう書き込みをしたのですが、また読んじゃいました^_^大好きな作品です！！初めて読んだ頃からこんなに時間が経ってるのにびっくりするし、ここに書き込んでる人も大人になったのかなーって想像するだけでわくわくです^ ^ (7月13日 1時) (レス) id: de6e03f4bf (このIDを非表示/違反報告)
莉里(プロフ) - またいつか巡り合ったら読ませていただきます。確実に私のお気に入りの作品です。 (2022年6月25日 3時) (レス) id: fd324481c2 (このIDを非表示/違反報告)
莉里(プロフ) - たまたま検索していたところ、数年ぶりにこちらの作品を見つけました。懐かしな、何回も読み返したな、と思いながら読み始めると4時間ずっと読み続けてました。そして号泣していました。毎回です。こんな素敵な作品が残っていたこと、とても嬉しく思います。 (2022年6月25日 3時) (レス) @page37 id: fd324481c2 (このIDを非表示/違反報告)
ai(プロフ) - ほんと懐かしいな〜とコメント欄を眺めていたら、2017年の際にもしっかりコメントしている自分がいました（笑）この作品は中毒性がありますね。素敵な作品です。 (2021年9月29日 4時) (レス) id: a5a7435db3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆい☆
| 作成日時：2017年1月18日 12時
