☆171 ページ36
「ど、ういう」
「こんな酔っぱらわされちゃってさ〜」
「今日は廉と飲んでたわけじゃない…ですよ…？？」
「…今日は？」
「………」
墓穴掘ったかもしれない、と焦る。
ショウさんはそんな私を追い詰めるみたいに、
私の首筋に顔を埋めて
ふわ、と軽いキスを何度も繰り返す。
「……う、」
「首元よわいよね」
「や、…ショウさ……」
「それで？今日じゃない日もお酒飲んだの？」
「…廉が、家に来て、…んん、………ご飯たべて」
「だから家の住所知ってたのか〜」
「や！だ、…っ、そこでしゃべらないでくださ、……」
「俺のこと避けてた罰ってのはどお？」
ショウさんが首元に唇をつけたまま言葉を発する度に、体がびくりとする。
その反応をみて、ショウさんが薄く笑う気配。
ああ、えっと。
何の話してたんだっけ。
うまい具合にショウさんに意識をそらされる。
わざとだ。
「…今日のショウさ…、いじわるです」
「んなことない」
「いつもはもっと優し、のに、」
「ほんとの俺はそんな優しくない。Aは特別にしてただけ」
言葉尻が、少し荒々しい。
声を荒げるとまではいかないでも、初めて聞いたそれにビックリしていたら、
ぐいと顎をつかまれて、息する間もないみたいなキス。
かすかな抵抗も、そのうち力が入らなくなって、思考が溶かされてく。
どのぐらいだったのか、ようやく唇が離れていくと思ったら、
その刹那に見えた彼の瞳が、苦しそうで___
「ショウさ、……？」
「……嫌？」
「え？」
「ほんとは俺、他人に優しくとかできない人間だよ」
「……優しいです…」
「Aだけだって言ってんでしょ」
苦しそうに、歪む顔。
綺麗な顔に似合わない。
普段あまり何にも動じない分、こうやって彼の気持ちがハッキリわかるのが、どれだけショウさんが動揺してるか伝わってきて。
「無理してるんですか…？」
「ううん、無理じゃない。ただ、Aが思ってるよりずっとずーっと、俺って冷たい人間だから」
「…そんなことないです……」
「……好きにしていいからね。俺のこと嫌になったら、逃げていーよ」
「何言ってるんですか！」
「ずっとそう言ってるでしょ？」
確かに、そうだ。
昔からずっと、ショウさんは私に選択肢を用意してくれてて。
強引でも、必ずどこかに逃げ道を作ってくれている。
でも、それが、ショウさんの本心をわからなくする。
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れー。 - トラウマになりそうなほどに切なく物語を思い出すだけで胸が締め付けられます。こんなに感情が動いた作品は今まで読んできた小説で圧倒的に一番です。映画やドラマにしてほしいほどこの小説に惹かれてしまいました。大好きな作品です！ (2018年6月27日 10時) (
レス) id: 4792958e4f (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 一番好きな作品です！！もう、10回ぐらいは読み返しました笑 定期的に見たくなります！ (2018年4月1日 0時) (レス) id: 7fb9479a8f (このIDを非表示/違反報告)
夏 - あー、頭がどうにも可笑しくなりそうです笑この作品を見ると、生まれた場所の東京と今居る田舎の県と、交わって感情移入がしやすいです。教えてくれたあの子に感謝。 (2017年1月21日 8時) (レス) id: ec0b94023c (このIDを非表示/違反報告)
むむ(プロフ) - この作品が占ﾂｸで一番好きです！いきものがかりさんのラストシーンにぴったりでこの曲をきくとこの作品を思い出してなきそうになります。お勉強頑張って下さい！ (2017年1月18日 20時) (レス) id: 092114e7d9 (このIDを非表示/違反報告)
なっぴぴ(プロフ) - 更新されててすごいびっくりしました！ほんとにうらつくの中で1番好きな作品です>_< (2017年1月18日 13時) (レス) id: d6fe05cabb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆい☆
| 作成日時：2015年12月29日 10時
