スターダスト・ノスタルジア ４

☆170 ページ35

くるしい。


息ができない。

もがいても、もがいても、
沈んでいくばかりで。

遠くに廉がみえる。
助けを求めるように必死で見つめても、届かない。
廉はどこかへ行ってしまう。



まって！
やだ！

置いてかないで…



「………や、だ……！……っいた〜」



頭がキーンとする感覚に、顔をしかめる。
目に飛び込んできたのは自分の家の天井。

…夢、か……。



「おはよ」

「わ！…え、ショウさん……？」

「具合はどお？」

「あたま…いたい……」

「飲みすぎ」

「ごめんなさ…、いやまって、なんでここに、」



ふふ、と微笑んで、
上から見下ろしてくるショウさん。

なんで私の部屋にいるんだろう。
えっと…そもそも私は、なんで、ここに。
たしか心愛ちゃんとご飯行って…廉と会って…ヤケ酒して……

やばい。途中から記憶ない。



「すーごい、うなされてたよ」

「……そうですか…」

「やな夢でもみた？」

「…夢、なら……いいんですけどね……」



そうだ、こんなのひどい。
夢でさえ離れてくなんて。

音信不通になって、散々心配させておいて、再会したら何事もなかったかのようにして。

捨てたくせに、
約束破ったくせに、

たくさん酷いことしておいて、平気な顔で、
「ラインのアカウント、Aのだけ消せなかった」なんて
期待させるようなこと言う。

…期待？
わたし、期待した？


まだ、廉のこと好きなの？



「A、Aってば」

「……あぁ、えっと？」

「聞こえてなかった？」

「考え事してて」

「幼馴染くんのこと？」



思わず、ショウさんを見る。
全部わかってるみたいな彼の瞳の色。

もう私は、この人に何かを隠すことなんてできない。
それぐらい深いところまで、私の心のなかに入り込んでるから。



「もう会うのやめなよ」

「偶然会っただけです」

「心配する、じゃん」

「あ、でも今のところ授賞式の時以来、発作はおきてないんですよ。この数年間なんだったんだろうってぐらい、

「そうじゃなくて。」



ショウさんの顔が近づいてくる。

ちゅっ、と軽い音をたてて、
私のおでこにキスを落とす。

そのままコツンとおでこを合わせて、





「………Aの酔ったとこ、俺だけものやったんになあ」



至近距離で、小さく呟く。

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