SUPER DERICATE温泉編(tk×in + yb×cn)

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伊「高木、疲れただろう。運転代わるよ」


自販機で伊野尾の分の紅茶を買って渡してくれる。

そして、自分の分のコーヒーも買って


高「そうだな」

伊「じゃあ、コーヒーじゃない方がいいんじゃない？」

高「…生憎とカフェインが眠気に効いたことはないから大丈夫」


高木はそう言って、缶コーヒーを飲んだ。

運転を伊野尾に代わって、運転席に座ってエンジンをかけると、しらじらと夜が明けてきた。


伊「ああ、いいなぁ。こういうの……」


伊野尾はなんか胸がいっぱいになった。


高「…今、ちょっと思い出した」


高木の言葉に、伊野尾はハッとなった。


伊「最初のドライブしたときのこと？」

高「ああ…」


伊野尾もちょうどそれを思い出してたところと、あの冷たかった高木があのときのことを覚えてたなんて、伊野尾は何とも云えない気持ちになった。


伊「俺さ、あの時、紅茶買って来てくれた高木のこと、盗み撮りしたんだ…」

高「盗み撮り？」

伊「夕陽の写真撮るふりして…」


前を向いたまま、思い出して照れ臭そうに笑う。


伊「…メールもLINEも電話番号も削除した時、一緒に削除しようとして、何度も出してはボタン押せなくて…。結局、今も持ってる…」


一度もう駄目だと思って、高木の連絡先を全て削除したのに、それだけは捨てられなかったのだ…。

その時、すっと高木の腕が伸びてきて伊野尾の髪をくしゃっと掴んだ。


高「…おまえ、可愛いすぎるだろ…」

伊「いや、キモいだろ…」

高「そんなことないよ。嬉しい」

伊「俺はちょっと呆れてる。あんなに高木とは別れるって決心したのに…今も後生大事に持ってるなんて…」


自嘲ぎみに笑う。


高「慧…。捨てないでくれてありがとな」


高木はそう云うと、伊野尾の頬にそっと手を当てた。

その仕草に愛情を感じて、伊野尾は心がきゅんとした。


伊「高木…」

高「だ〜から、そう云う顔すんなって！！それを誘ってるって云うんだって！」

伊「えっ？ええっ！？」

高「しかも、そんな前から俺のこと好きだったんだ…？」

伊「……最初に会った時に一目惚れって云ったじゃん」

高「そうだけど…全然そんな素振り見せなかったし、俺の第一印象ってすごく悪くなかっただろう？」


さすがに自覚はあったんだと思いながら、苦笑する。


伊「…なんだろうな…ぶっきらぼう過ぎて逆に印象強かった」

高「まあ、それを狙ったんだけどな」


高木はにやっ笑った。

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