3:*Vega* ページ4
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――似てる気がした。俺の、好きな女に。
「…どうした? 不死川」
「……別に、何もねェ」
「何もねェ事無ェだろ。あのカップル派手に見つめてたろ」
「見てねェよ」
目はとりわけ良い方じゃ無いから分かんねェ。
けど、確かに目が合ったと感じた。
隣の小せえ男は誰なんだァ?
……クソ、よく顔が見えねぇ。
「お前目つき悪ィぞ、てかどこ行くんだよ?」
「ア? ……あー。いや。何でもねェ」
「何か変だぞお前? …やべ、1限始まる! じゃ、俺たち行くわ」
宇髄に話しかけられ、再び視線を戻した時には反対方向にあの二人は行ってしまった。
何でこんなに苛々すんだァ。俺の好きな人かどうかも分かんねェのに。
宇髄が適当に群がってた女子を撒いて三館に向かう。
講義5分前に余裕で後ろの席に座った。
「お前今日好きな子に会いに行く日じゃねーの?
ンでそんな怖え顔してんだよ」
「してねェよ。……さっきの女子が、似てただけだっつうのォ」
「お前の好きな子に?」
頬杖ついて宇髄は俺にそんなことを聞きやがる。
無言でいれば肯定と受け取ったみたいで、俺の顔を覗き込んでニヤニヤし始めた。
「へぇえ?? じゃお前もしさっきの子が本当にそうだったらどうすんだよ? 話しかけたりしねェの?」
「……どうも、しねェよ」
「本当かぁー? 好きな子と同じ大学なんて派手に運命感じんじゃねェか! お前もそう思うだろ?」
「……」
「オイオイオイ口元ピクピクしてんぞォ! 嬉しがっちゃって不死川ったらかぁわいいなァ」
「テメェマジで一回黙れェ……」
クソが…此奴のせいで教授の視線が痛ェ。
ただでさえこの履修取ってんの少ねェのにンな大声で話すんじゃねぇよ。
水曜は1限だけ。
これが終われば……会いにいける。
_あー……早く会いてえ。
「じゃあな宇髄」
「おー。今日こそ派手に連絡先聞けよ」
「……分ァってるよォ…」
「お前がそんなだからなぁ…今日連絡先貰わねェと次は俺もついてくからな!」
「ふざけんじゃねェ!」
こいつの冷やかしは苛々する。
早く糖分摂取してェ。
食堂で飯を食べた後宇髄と別れてマスクを着け、鞄から深めのキャップを取り出して被る。
マスクとキャップで顔バレも防げるし逆ナンも少なくなるから便利だ。
…一駅分程の距離を歩いて、着いたいつものカフェ。
「_いらっしゃいませ!」
……糖分摂取完了。
あー。今日もクソ可愛い。
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おそらまめ(プロフ) - kさん» k様、過去作品にもいくつか触れて頂いているようで、とても嬉しいです。天才だなんて恐れ多いお言葉です……でも嬉しいです。k様が読みたくなるような作品を今後も作っていければと思っております。ありがとうございます(^^) (6月16日 2時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
k - まさかこの作品がおそらまめさんだったなんて、、、この作品もすごい素敵です!!!!おそらまめさんは天才ですか?? (6月15日 22時) (レス) @page50 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
yukino(プロフ) - この作品もとても面白いです!!!! 実弥さん最高です!! こんな面白い作品を書けるなんて尊敬します!! (2022年1月17日 19時) (レス) id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 美桜さん» 美桜様、ありがとうございます(^^)もう作者の実弥シリーズの作品だけでそれこそ短編集出せそうですよね(笑)そんな…嬉しい事を言って下さって…。懐かしいキャンパスライフの日々、思い出しますね…! (2020年11月27日 9時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - ううう、こちらも名作!本出してください!即買します!何回も読み返して、キャンパスライフを思い出してます(^-^) (2020年11月26日 12時) (レス) id: a2ac9ececf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年3月27日 0時