銀髪とスコーン【不死川実弥】

16:Indus ページ17

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長い90分の授業も終わり、私は小芭内から言われた、実弥君が私に絡んでくる理由が聞きたくて悶々としていた。





「ねぇ、小芭内！ 実弥君の話の続き、教えて！」

「少しは自分で考えてみるんだな」

「考えたってば、この90分間ずっと」

「それはそれでお前はやはり馬鹿なんだな」

「い、意地悪…！ こんなに気になってるのに…！」





小芭内と言い合いをしてると、携帯がピコン、と通知を知らせる。





「あ、マナーモードにするの忘れてた……」





"不死川実弥さんから新着メッセージがあります"


…え、実弥君から？ 同じ授業受けてるしここに居るよね？

後ろにいるだろう実弥君からDMが来て驚きを隠せないままそれをタップしてトーク画面を開く。





"星奈"

"こっち向いて"





「……っ」





思わず息を呑んだ。
突然動悸が止まらなくて、心臓がばくばくする。

　たった、この二言だけなのに。


さらにメッセージがくる。


"顔見てえ"





――ゆっくりと振り向いて、実弥君を探した。
　首を振ったその視線の先に、実弥君だけがお星様みたいに光っていて存在感を示していた。


携帯を片手に、頬杖をついて真っ直ぐ私だけを捕らえる彗星。





「(か、わ、い、い)」

「〜〜…！！」





実弥君はゆっくり口を動かして、確かに私に向かってそう告げ、甘ったるい笑みを深めた。

こんな大勢人がいる中で、誰かに見られてたらどうしよう。


　それでも頬の熱は一気に上がって、慌てて顔を逸らした。





「……A、どうした？」

「…っううん、何でも…ない」





怪訝な顔する小芭内に気付かれないように、顔を背けて鞄を持った。
無理に引きつった笑顔でそう言ったから声が震える。


また手の中で携帯が振動して、誰かは分かってるのに、確認しようとする手は止まらない。





"今日、何限で終わる？"


実弥君からの追うように続くメッセージ。

小芭内の後をついて階段を降りながら、若干震える手で"4限で終わりだよ"と送った。





「おいA、ながらスマホは危険だぞ」

「…うん……きゃっ、！」

「ほら見ろ、今にこけた」

「ご、ごめん…」





実弥君に返事をした直後、階段を踏み外してつまづく。
間一髪小芭内が受け止めてくれてなんとかこけずに済んだ。

返事は気になるけど、また小芭内に迷惑かけちゃう。





「移動間に合う？」

「ああ」





携帯をしまって次の講義室へ急いだ。





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