其ノ漆拾壱 ページ28
Noside
沈みかける密輸船に、フードを被った一人の少女が佇んでいる。
「もしもし、涙くん?
頼んでたあれ、お願い出来る?
……うん、そう。宜しくね。」
電話を切った少女のフードが、風によって脱げる。
それを気に留めることも無く、少女は海を一瞥し……
その後、何の躊躇も無く静かに海へ飛び込む。
風によって、白く長い髪が靡く。
その姿は、
「─────────」
少女の静かな呟きは、そのまま海へと消えて行った。
事の発端は、敦が列車を飛び降りた時まで遡る──
「涙くんに、一つお願い……と云うか、任務があるの。」
「嗚呼。何でも云ってくれ。」
Aからの任務に、涙香は目を輝かせた。
「それは頼もしい。それで涙くんにはね……
人虎と、鏡花ちゃんを見張ってほしいの。」
「人虎と……泉鏡花を?」
涙香は、首を傾げる。
「そう。人虎を捕らえに、龍くんが来るから……
それまで、二人を見張ってて。
行動を逐一報告する必要は無いよ。
私の方でも大体把握してるだろうし。
ただ、龍くんが二人の前に現れたら報告して。」
「任せてくれ。」
「うん、有難う。それと、見張る時は距離を取ってね。
鏡花ちゃん、そこら辺の勘が良さそうだから。」
「判った。」
「それじゃあ、また後でね。」
「嗚呼。」
その後、涙香はAの指示通りに二人の見張りをしていた。
……Aのアドバイス通り、距離を取って。
そして、二人の前に芥川が現れたのを見て、Aに電話をした。
「芥川が来たぞ。次は如何するんだ?」
[そのままポートマフィア本部に戻ってくれる?]
「それで良いのか?」
[うん、いーよ。]
「戻って何をすれば良い?」
[私の執務室に行けば良いよ。鍵は開いてる。
机の右側の引き出し三段目に入ってる鍵を……
次連絡した時に樋口ちゃんに渡して。
『龍くんを探しに来て』って云ってね。]
「それは、何の鍵なんだ?」
[モーターボートだよ。]
「モーターボート?それで芥川を探すのか?」
[そうならない事を願ってるよ。]
「……A。今何処に居る?
これから、何をする心算なんだ?」
[ふふ、さぁね。
何の宛も無しに広い海を探し回るのは大変でしょ。
だから、大体のポイントを示して送るね。
それを樋口ちゃんに見せて。あっ、それじゃあ。]
「あっ、おい、A……」
こうしてAは、一方的に電話を切った。
169人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
舞花 ひめ(プロフ) - るぅとさん» 有難う御座います!そう云って頂けると私も頑張れます!これからも応援、宜しくお願い致します。 (2019年8月22日 7時) (レス) id: 6d7eb9b273 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと(プロフ) - 更新お疲れ様です!! ご自分のペースでいいので頑張ってくださいっ (2019年8月18日 22時) (レス) id: 4ba8ceef5d (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - いずなさん» 有難う御座います!楽しみにして下さってる皆様の為にも、引き続き頑張って行きますので、これからも宜しく御願い致します。 (2019年7月8日 6時) (レス) id: 052a536090 (このIDを非表示/違反報告)
いずな - この物語面白いです!忙しいと思いますが更新頑張ってください!続き楽しみに待っています (2019年7月6日 2時) (レス) id: f5ee51c946 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - ▼とあるヰ琉兎さん» 有難う御座います!更新頻度が落ちないよう努力していくので、これからも応援、宜しく御願い致します。 (2019年6月1日 18時) (レス) id: 90e19b9523 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:舞花 ひめ | 作成日時:2019年6月1日 8時