芥川龍之介の相棒 弐

其ノ漆拾 ページ27

Noside

しかし──

「(虎の尾！？)」

芥川の身体を引き寄せ攻撃を仕掛ける敦に対し、芥川は瞬時に障壁を張る。

「空間断絶──！」

「うおおおおおおおおお！！」

敦の虎腕の拳が、ついに断絶をぶち抜いた。



「私の新しい部下は君なんかより──」



「うおおおああああああああああアアアアッ！！」

敦の渾身の一撃が芥川を襲う。

芥川の身体は吹っ飛び──海へと落ちていった。

敦も体力を使い果たし、甲板に倒れる。

「…………」

力尽きた敦の身体を抱え上げた鏡花は敦を支えて、そのまま船尾まで辿り着いた。

その時、密輸船の一部が、さらに爆発する。

「！」

爆発の衝撃で、敦と鏡花は海に向かって落ちていく。

その二人の身体を国木田の操る小型高速艇が受け止めた。

「この大馬鹿野郎！……よくやったぞ！」



「却説……七十億も支払って虎を買おうとしたのは、何処の誰かなーっと……？」

ポートマフィアのデータベースを探る太宰。

軈て、とあるデータを見て、太宰の表情が凍りつく。

「此奴等は……！？」



「……時間だ。島国の田舎マフィアめ。
約束の時間も守れないとは、とんだはんちく(・・・・)だな！
聞こえたか？懸賞金作戦は失敗。
どうしたものだか。」

とある男が、マイクを通して誰かに連絡をする。

その相手は──

［どうぞお好きに。
わたくし達が手袋(ハンドウェア)を汚す程の相手ではありませんもの。］

《時計塔の従騎士》近衛騎士長
デイム・アガサ・クリスティ爵
能力名『そして誰もいなくなった(And Then There Were None)』

［全て予想の通りです。いずれにしても、ぼくたちは勝手にやらせてもらいますよ。
神と悪霊の右手(めて)が示す通りに。］

地下組織《死の家の鼠》頭目
フョードル・ドストエフスキー
能力名『罪と罰(Преступление и наказание)』

［ご機嫌よう。］

［……ではまた。］

「ち……協調性のない貧乏人どもめ。まあいい。」

男はグラスを片手に笑みを零す。

男の名は──

「二番手が利益(プロフィット)に与れる道理はなにもない。
『約定の地』は、我々《組合(ギルド)》が必ず頂く。」

能力者集団《組合》団長
フランシス・スコット・キー・フィッツジェラルド
能力名『華麗なるフィッツジェラルド(The Great Fitzgerald)』

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