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其ノ弐拾漆 ページ28

Noside

「助けてさしあげますよ。
……死に囚われる恐怖からね。」

それが、犯人が聞いた最後の言葉となった。

理由は簡単……犯人の背後に出来た影が、Aの指示によって自らを生み出しているその人を貫き、亡骸にしたからだ。

犯人が死して、尚も虚ろな目をしている涙香に歩み寄る。

「駄目だよ、涙くん。
怒りに身を任せるのは、最適解とは云えない。
それに、君が殺そうとしていた敵は消失した。
もう、我を忘れて怒る必要もない。」

様々な言葉を紡ぐが、何を云っても涙香の目に光は戻らない。

そんな涙香を見て、Aは、顔にこそ出さないが、焦っていた。

若し、此のまま戻らなかったら──

恨み、嫌ってる人物を思い浮かべるが、漠然とした不安が拭いきれない。

その時、不意に昔の事を思い出した。

「嗚呼……そっか。」

そう呟いたAは、涙香にもう一歩近づく。

虚ろな瞳を見据え、涙香の両頬を優しく包む。

「……君は大切な者を失ってしまった。
でも、大丈夫。君は一人じゃない。
居場所なら、私が与えてあげる。
だから…………戻っておいで?」

一筋の涙を流した涙香の瞳に、徐々に光が戻る。

それと共に、涙香が操っていた影が元の形を取り戻す。

「俺は……何を…………」

正気に戻った涙香は、犯人の遺体を見て、顔を歪めた。

「安心して。彼を殺ったのは、私。
涙くんが殺人を犯すのには、間に合ったけど……」

Aは涙香から離れ、フードを被り乍ら、涙香の姉の遺体に近付く。

「ごめんね……お姉さんの方には、間に合わなかった。」

「いや、お前のせいじゃない…………」

荒れ果てた廃倉庫に暫く無言の時間が続く。

「名前……何て云うの?」

Aの其の質問の意味を理解するのに、涙香は二秒程の時間を要した。

「……(こん)。」

小さく呟いた姉の名前に、涙香は泣きそうになり、ゆっくりと俯いた。

「紺……黒岩紺ちゃんか。」

紺の遺体を黙って見詰め乍ら、Aは次の言葉を思案した。

「それで?此の先、涙くんは如何するの?」

その結果、口から出た言葉は、此れだった。

涙香は俯いたまま、長い時間を使って問いの答えを探す。

「俺を殺さなくて、いいのか?」

問いの答えを出すよりも先に、そんな疑問が浮かんだ。

指示とは云え、組織を裏切ろうとした涙香を殺さなくていいのか……

涙香は、不安を胸にそう尋ねる。

「殺さないけど?」

Aは、当然だと云うように、そう答えた。

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舞花 ひめ(プロフ) - 櫻色華伝さん» コメント有難う御座います!涙香くん、可愛いですよね!私もデレデレしながら書いてます(( これからも頑張って更新させて頂くので、これからも宜しくお願い致します。 (2020年1月8日 10時) (レス) id: 56c3681e86 (このIDを非表示/違反報告)
櫻色華伝(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!夢主(私は累-かさね-ちゃんとしてます)LOVEの涙香くん可愛すぎる!応援してます。更新頑張ってください! (2020年1月7日 15時) (レス) id: bb11e6ace8 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - ▼とあるヰ琉兎さん» 有難う御座います!頑張って更新させて頂くので、楽しんで頂ければ幸いです!▼とあるヰ琉兎さんも、頑張って下さい!応援してます! (2019年4月3日 22時) (レス) id: 95f7a369ce (このIDを非表示/違反報告)
▼とあるヰ琉兎(プロフ) - 首領の意味深な発言や芥川との関係が良かったです!!この先どう進んでいくか気になります。更新楽しみにしてます!!これからも、応援してます(´ω`*) (2019年4月3日 21時) (レス) id: ff0f774975 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:舞花 ひめ | 作成日時:2019年3月1日 7時

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