其ノ弐拾肆 ページ25
Noside
涙香がとった行動は、全くAの予想通りだった。
涙香が部屋を出たのは夜明け前の四時頃。
一度は寝ものの、浅い眠りの末、三時半頃には完全に目が覚めてしまった。
その後暫くは、拷問器具を弄ってAの情報を得ようとしていたのだが、得られた情報は異能力についてぐらいだった。
犯人を探し求め、向かった先は廃倉庫。
其処は、計画が成功した時に来るよう指示されていた場所だ。
身一つの涙香は、歩いてその廃倉庫に向かう。
やっとの思いで、廃倉庫に着いた涙香は、息を切らせていた。
時刻は分からないが、日はそこそこ高くなっていたように感じられる。
一縷の望みをかけて、廃倉庫の扉を思いっきり開く。
雑多に積み上げられたコンテナの奥に、鎖に繋がれた、傷だらけの姉を見つけた。
「姉さん!」
涙香は、駆け寄ろうとしたのだが……
「良かったなぁ。
もう少し遅かったら、此奴を殺してたぜ。」
犯人によって阻まれる。
正確に云えば、姉の首筋に当てられたナイフを見て涙香が動けなくなったのだ。
「……姉さんを返してくれ。」
「それは、未だ出来ねぇな。
お前、作戦に失敗したみてぇじゃねぇか。」
その言葉に涙香は下唇を強く噛んだ。
「殺されずに生き延びてたことは褒めてやるよ。
……次はしくじるんじゃねぇぞ?良いな?」
犯人の言葉に、涙香は頷こうとした。
……が、中々行動に移すことが出来なかった。
脳裏に浮かんだのは、Aの姿。
人質の有無はあるが、Aと涙香の力の差は誰が見ても歴然だ。
いや、彼女なら人質が居たとしても、
「(俺にも彼奴みたいな強さがあれば……)」
「おいおい……真逆、出来ねぇ訳じゃあるめぇよな?
此方には、人質がいるんだぞ?
それとも、大事なお姉さんが死んでも良いのか?」
強く押し当てられたナイフが皮膚を裂き、小さな呻き声と共に、一筋の血が滴る。
「判った!」
考えるより先に、口が開く。
「判ったから……姉さんには手を出すな。」
涙香の言葉を聞いて、姉の瞳が悲しげに揺れていたのだが……その事は誰にも知られることはない。
「判ったんなら、それで良い。
じゃ、次の作戦について考えてやるから、大人しく待ってろよ?」
犯人はそう云い捨てて、二人の姿が視界に入るコンテナに腰を下ろす。
其処でパソコンを操作し始めた。
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舞花 ひめ(プロフ) - 櫻色華伝さん» コメント有難う御座います!涙香くん、可愛いですよね!私もデレデレしながら書いてます(( これからも頑張って更新させて頂くので、これからも宜しくお願い致します。 (2020年1月8日 10時) (レス) id: 56c3681e86 (このIDを非表示/違反報告)
櫻色華伝(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!夢主(私は累-かさね-ちゃんとしてます)LOVEの涙香くん可愛すぎる!応援してます。更新頑張ってください! (2020年1月7日 15時) (レス) id: bb11e6ace8 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - ▼とあるヰ琉兎さん» 有難う御座います!頑張って更新させて頂くので、楽しんで頂ければ幸いです!▼とあるヰ琉兎さんも、頑張って下さい!応援してます! (2019年4月3日 22時) (レス) id: 95f7a369ce (このIDを非表示/違反報告)
▼とあるヰ琉兎(プロフ) - 首領の意味深な発言や芥川との関係が良かったです!!この先どう進んでいくか気になります。更新楽しみにしてます!!これからも、応援してます(´ω`*) (2019年4月3日 21時) (レス) id: ff0f774975 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:舞花 ひめ | 作成日時:2019年3月1日 7時