【ジョジョ4部】蠱惑的インクルージョン (ページ7)

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仗助は息を飲んだ。
クレイジー・ダイヤモンドは彼女のスタンドを遥かに凌駕する体格を持つ。こちらの射程距離ぎりぎりの間があるとはいえ、仗助を見る彼女の瞳には間違いなくこのスタンドが映っているはずだ。

だというのに、彼女の態度はここまで来ても何の変化も見せなかった。

見えていないというのか。本当に、何も。

ありえないと消し去った可能性の一つが、ここへ来て急に現実味を帯びた。

仗助も仲間も、Aがスタンド使いであり、刺々しいスタンドの本体は彼女だと信じて疑わなかった。
…けれどもし、それが間違っているとしたら？

スタンドの中には本体を離れ、他人に取り憑ける者もいると、仗助は知っている。

……ならば、やることは一つだ。

「どこの誰かは知んねェけどよォ。人質なんてセコい真似は、この俺には通用しねェんだぜ！！」

針のスタンドの両肩から金属が擦れるがして、仗助への敵意が増す。

けれどその爪がAにさらに深く刺さるよりも、クレイジー・ダイヤモンドの拳が飛ぶ方がずっと早かった。

はっきりとした手応えと共に、針のスタンドが後ろへ吹っ飛ぶ。

だが確実にスタンドのみを殴り飛ばしたつもりだったのに、自由になったはずのAまで倒れ込んでしまった。

「すげー、一発KOってやつだぜ」
「あれ…？俺はてっきり、スタンドの本体は別にいると思ったんだけどよ…」
「気絶しちゃったってことは、やっぱりこの子のスタンドだったってこと、だよね…？」

億泰がひらひらと手をかざしてみるも、彼女はぴくりともしなかった。

唇の端から血が垂れている。
クレイジー・ダイヤモンドは正確にスタンドの横っ面を捉えていたから、当然といえば当然だ。

殴ったのと同じ手で触れれば傷自体は治るが、Aは気絶したままだし、挑発的に出現と消滅を繰り返していたスタンドの謎も解けないままだ。

仗助は彼女を見ているよう2人に頼むと、すぐそこにあった電話ボックスに駆け込んだ。

スタンド絡みの出来事なら、頼る先は一つしか思い浮かばなかった。