【ジョジョ4部】蠱惑的インクルージョン (ページ28)

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「こいつは意味もなく人を襲うことは絶対しねェ。制御に苦戦しててもスタンドの力を知った今、それを自分に許す奴じゃあねーんだよ」

心臓がまた、どくんと鳴った。

Aのスタンドをよく知る仗助なら、露伴の言葉を鵜呑みにしたっておかしくないのに。

彼は、Aを信じてくれるのか。

「どうせてめーがまた勝手に本にしようとしたんだろ。この前はちこっと殴り足りなかったからなァ。そんときの分、今ここで晴らさせてもらってもいいんだぜ？」

顔まで上ってきていた体温が、次の発言でさあっと冷めた。

露伴の怪我は交通事故でも何でもなく、仗助がやったものらしい。
理解するや否や、Aの体は勝手に動いていた。

「そこまで！！…です！」

仗助に背中を向ける形で、2人の間に割って入る。

「私なら、大丈夫だから。むしろスタンド能力を受けたのはこの人だけだし、私も悪いと思うの。…右腕のこと、ごめんなさい。少しすれば元に戻りますから」

行こう東方くん、と仗助の手を引く。

露伴は怪訝そうに片眉を上げていたが、何も言わずにスケッチブックを拾った。
そして仗助もクレイジー・ダイヤモンドを引っ込めると、Aについてきてくれた。

◇◇◇

「A？おい、A」

くいくいと軽く手が引っ張られる。

周りの音もどこか遠くに聞こえていたAは、やっと歩みを緩めることに思い至った。
首を後ろに回すと、仗助が不思議そうにこちらを見ている。

ばっちり視線が合うし、なんだか彼が近い。

次いで自分の手を見た。
Aの左手は一回り大きな仗助の手を握っている。
Aは火にかけたやかんから飛び退くように、慌てて手を離した。

「ごめんなさい！私勝手に」
「謝るこたねーけどよ」

後ずさった拍子に、雑に山盛りにした野菜がまた袋から落ちそうになる。
仗助は自然な動作で袋を支えると、ひょいと野菜をキャッチした。

なんてことだ、さっきよりも距離が近くなった。

「連れてきたの私なんだけど、東方くんはこっちに来て大丈夫だった？」
「大丈夫かって…それは俺が聞きてーことだぜ。おめー露伴に絡まれてスタンド出したんだろ。見た感じ平気そうだけどよ、何もなかったか？」

そういえば何も説明していなかった。

彼のスタンドを使われそうになったが、レイヴィング・ナイトがAの感覚を眠らせる方が早く、不発に終わったと伝える。

すると、仗助は呆れ混じりに尖らせていた唇をさらに突き出した。