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怪しさが気にかかって接近したときは『ぼんやりした目』だと思っていたが、改めて顔を合わせてみると全くそんなことはない。
性根の優しさや穏やかさは感じとれるものの、意識を遠くにやっているような不気味さとは全然違う。
きっとあれは、レイヴィング・ナイトに精神的な干渉を受けていた影響だろう。
完全に正気に戻っている今は、時折視線の置き場が落ち着かなくなるという別の特徴も現れているのだが。
「女の子の気を引きたいなら、僕より仗助くんに注目してみるべきじゃない?入学式の朝から囲まれてたんだよ?」
「何だそりゃ!聞き捨てならねぇ!」
「やっぱり優しいところなのかな。Aさんのことも、すごく気にかけてあげてるし。ねえ仗助くん?」
「そこんとこどうなんだ仗助ェ!それがモテる秘訣なのかよぉ!!」
ぼーっとしているうちに、いつの間にやら会話の矛先が自分に向けられていた。
いやに気合の入った目つきで身を乗り出す億泰の肩を、軽く押しやる。
「そういうんじゃあねーっての。別に、一発ぶち込んだのに責任感じてるわけじゃねーんだぜ。ただ、どっかで誰かとばったり会って、うっかりやられちまったなんてことになったら、気分悪ィだろ」
それに、味方が増えるのはいいことだ。
決して狭くはないこの杜王町で何か異変が起きたとき、気付きやすくなる。
もっとも、そんな打算で動いているわけでもない。
仗助のように見た目にケチ付けて絡まれることはないにしろ、Aがスタンドの制御にいまいち心配が残っているのは事実なのだ。
「言えてるぜ。また気付かないうちに自分のスタンドに首狙われてることも十分ありえる。今朝みてーに」
「そんなことがあったの!?」
「ま、一番衝撃なのはあの由花子とダチやってるっつーことだけどな」
紙パックの底でずごっと音が鳴る。
とりあえず気のいい奴なのは間違いなさそうなので、揉め事なく付き合っていければそれでいい。
何事も平和が一番だ。
ジュースを飲み干したところで、休み時間終了のチャイムが鳴った。
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こうもり - あげなすびさん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2022年9月14日 7時) (レス) id: 9309100d6a (このIDを非表示/違反報告)
あげなすび(プロフ) - 面白いですっ...!!これからも応援します! (2022年9月14日 0時) (レス) @page3 id: a4623d5dd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こうもり | 作成日時:2022年9月3日 22時