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向かった先の教室では案の定億泰が潰れていた。
康一と一緒になってからかいながら励ます仗助は、別のことを考えずには入られなかった。
はっきりとは思い出せない、幻じみたあの姿。気のせいで済ませられるくらいに一瞬だったせいで、記憶すらあやふやだ。
(けど確かに、目が合った、気がしたぜ…!?)
唯一思い浮かぶ人間ではない瞳は、夜の海に浮かぶ満月に似ていた。
そしてその昏い瞳は、仗助への敵意で光っているように見えた。
◇◇◇
「新しいスタンド使いがいるかもしれないィ!?」
放課後、校門までの道中で合流した億泰は、早々に素っ頓狂な声を上げた。
ハモるようにして康一の叫び声も重なる。
「仗助てめェ、んな大事なこと何でもっと早くに言わねェんだよ!!」
「仕方ねーだろ。もしかしたら見間違いだったかもしれねェって、今の今までず〜っと考えてたんだからよ」
「なるほど、お前が寝ぼけてたっつー可能性もあるってわけだ」
「仗助くんがそんな見間違いするとは思えないけど…」
康一は首を傾げながらも、「でも、万が一ってこともあるしね」と調査に前向きな姿勢を見せる。
「んじゃ、まずは昼間仗助がぶつかったっつゥ女子を探すとこからか?」
「同じクラスじゃあねーってことは確かなんだけどよォ〜。イマイチ顔覚えてねーんだよな〜〜」
手を塞がれていた彼女は僅かに顔を向けたかもしれないが、そのとき仗助はスタンドらしき幻影にすっかり気をとられてしまっている。
背格好ならなんとなく覚えていても、派手に制服を着崩していたわけでもなく手がかりとしてはあまり役立ちそうにない。
「じょ、仗助くん…」
すると、仗助の右側を歩いていた康一が、にわかに足を止めた。
「君がぶつかった、スタンド使いかもしれない女の子って、あの子かい……!?」
彼が震える手で指したのは、仗助達の少し前を歩く女子生徒だ。
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こうもり - あげなすびさん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2022年9月14日 7時) (レス) id: 9309100d6a (このIDを非表示/違反報告)
あげなすび(プロフ) - 面白いですっ...!!これからも応援します! (2022年9月14日 0時) (レス) @page3 id: a4623d5dd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こうもり | 作成日時:2022年9月3日 22時