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「康一も矢で貫かれてスタンド使いになったんだぜ」
そう補足したのは仗助だ。
仗助くんがいてくれたから腰抜かさずに済んだんだよ、と笑う康一は、ちょうどここんとこにね、と体を指差す。
矢が刺さった場所。穴は塞がっていても、その『痕』は二度と消えない。
それでも一人じゃないから大丈夫だよ、と言われているみたいだった。
「…本当に、見つけてくれたのが東方くん達で良かった」
「この学校にいるスタンド使いは俺らだけじゃあねーからなぁ」
「う"ッ」
億泰がのんびりと肯定したところで、康一が悲鳴と呻き声の間のような声を出した。
さっきまでにこにこ笑っていた顔が、どことなく青ざめている。
「Aさん、億泰くんと同じクラスだったよね?妙なことを聞くんだけど、その、山岸由花子さんって、知ってる……?」
「知ってるというか、友達かな」
「「何ィッ!?」」
今度は他2人の様子もおかしくなった。
おいおいおいと揃って頬を引きつらせている。
「ダチぃ!?あの山岸由花子とぉ!?」
「人の交友関係に口出す趣味はねーけどよォ、大丈夫かよA。あの女、康一が絡むとマジに容赦ないぜ」
「教室に帰った後の君のこと考えたら僕、罪悪感が込み上げてくるっていうか…!」
「大丈夫だと思うよ。たぶん彼女、もうそんなことしないだろうし」
「「「もう!?」」」
ってことはまさか、プッツンされたことあんのかよ!と仗助。
Aは首を縦に振った。
あれは、新学期が始まって間もない頃のことだ。
『ねえ。あなた康一くんとどんな関係なの。クラスも違うのに、随分と馴れ馴れしいんじゃあない?』
図書室帰りの廊下で、すらりと背の高い、豊かな黒髪の女子に呼び止められた。
はっきりとした顔立ちの美しさが印象的で、話したことがなくても同じクラスの子だとすぐに分かった。
康一という名前に覚えがなかったAが返答に困っていると、急に体が壁に叩きつけられた。
かと思えば、鬼の形相の由花子がゆっくりと距離を詰めてきた。
『とぼけてんじゃあないわよ。私、見ていたんですからね。あんたが康一くんに色目を使うところ』
『…?それって、さっき私が話してた、1年の男子…?』
『そうだって言ってんでしょう!!』
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こうもり - あげなすびさん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2022年9月14日 7時) (レス) id: 9309100d6a (このIDを非表示/違反報告)
あげなすび(プロフ) - 面白いですっ...!!これからも応援します! (2022年9月14日 0時) (レス) @page3 id: a4623d5dd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こうもり | 作成日時:2022年9月3日 22時